[S3]認知研究のアイデンティティ: 認知心理学と認知科学の交流へ向けて
本田 秀仁1、植田 一博1、鈴木 宏昭2、原田 悦子3、日高 昇平4(1. 東京大学、2. 青山学院大学、3. 筑波大学、4. 北陸先端科学技術大学院大学)
認知研究には様々なアプローチや分野があり,多様な視点から研究が行われている.例えば,認知心理学と認知科学は研究の対象として認知を扱っているが,前者は行動実験,脳・生理計測など実験をベースとした研究が多く,一方で認知科学では実験研究に合わせて,認知モデリングをベースとした数理・計算論的アプローチも盛んに行われている.認知現象の複雑さを考えれば,多様なアプローチ・分野から研究がなされることが重要であろう.例えば,実験研究で得られた知見を数理・計算論的視点から捉え直すといった実験アプローチと認知モデリングアプローチを融合することによって認知現象の深い理解へ繋がることが期待される.しかしながら,異なるアプローチや分野に対する理解が,例え同じ認知研究者間でも不十分であることが見受けられる.認知心理学者・認知科学者は各々の研究に対する“アイデンティティ”を持っていると考えられるが,それぞれのアイデンティティを私たちはしっかりと理解できているだろうか? そこで本シンポジウムでは認知心理学・認知科学分野で精力的に研究を行なっている3名の先生に,ご自身の研究を紹介しながら,認知研究のアイデンティティについてご講演いただく.その上で,認知心理学・認知科学的アプローチそれぞれの利点と限界を考え,異なる分野やアプローチの壁を越えた交流やコラボレーションをどのようにして盛んにしていくべきかを考える場としたい.

