The 31st Congress of the Japanese Society of Gerodontology

The 31st Congress of the Japanese Society of Gerodontology

Nov 7 - Nov 8, 2020Held Online
The Congress of the Japanese Society of Gerodontology
The 31st Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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Nov 7 - Nov 8, 2020Held Online

[SY7-2]認知症の人の義歯への対応

○古屋 純一1(1. 昭和大学歯学部高齢者歯科学講座)
【略歴】
1996年:
東京医科歯科大学歯学部 卒業
2000年:
同大学院 修了 歯学博士(高齢者歯科学)
2005年:
岩手医科大学歯学部 歯科補綴学第一講座
2010年:
同歯学部 有床義歯補綴学分野
2013年〜2014年:
Harvard School of Dental Medicine留学
2014年:
岩手医科大学歯学部 補綴・インプラント学講座
2015年:
東京医科歯科大学大学院 地域・福祉口腔機能管理学分野
2020年:
昭和大学歯学部高齢者歯科学講座

日本老年歯科医学会専門医・指導医、摂食機能療法専門歯科医師、日本臨床栄養代謝学会学術評議員、日本補綴歯科学会専門医・指導医、日本摂食嚥下リハビリテーション学会認定士

演者は高齢者歯科を専門としており、外来だけでなく、在宅・施設、病院への訪問診療で、義歯を含めた高齢者の口腔機能管理を担当しているが、多職種協働による食支援の一環として口腔機能の問題に対応する機会が増えているというのが昨今の実感である。

 歯や義歯、舌や口唇など、様々な口腔機能の統合的結果である咀嚼・嚥下機能は高齢者で低下しやすい。食事は日常の営みであり、同時に食は日常の楽しみでもあることから、栄養や生きがいなど生命や生活の問題にも直結しやすい。

 咀嚼とは、食物を咬断・粉砕、唾液と混和し、嚥下しやすい食塊に形成することであり、嚥下の観点からは、咀嚼は準備的な機能である。しかし、食事や栄養の観点からは、咀嚼が担保されることで、食物摂取の多様性や食べる楽しみ、食事を通じた効率的な栄養摂取が保証される。義歯はこうした高齢者の咀嚼・嚥下機能に直接的・間接的に影響する。

 今後の地域包括ケアにおける歯科の役割は、老年症候群に陥りやすい高齢者の口腔機能を管理し、多職種協働による総合的な関わりの中で、生命活動や生活を支援することである。特に、認知症は口腔衛生や口腔機能を低下させやすく、オーラルフレイルを増悪させ、咀嚼障害や嚥下障害へとつながりやすい。認知症の人の義歯への対応は、咀嚼・嚥下機能の回復や食支援を通じて、一連のオーラルフレイルの増悪を緩和する可能性がある。特に、義歯への対応は歯科に限られるため、積極的なアプローチが期待される。実際、認知症の人の義歯には、義歯や支台歯の清掃不良、不適合や破損に気づかない等、様々なトラブルが散見される。さらに認知機能低下が進行すると、新義歯製作、義歯の着脱や装着そのものが困難となり、また、誤飲や誤嚥のリスクも高くなる。

 しかし、多くの場合、認知機能低下は急激に進行するわけではない。認知症は高齢者にとってCommon diseaseであり、その療養生活も長くなりやすい。そのため、認知機能の変化にあわせた口腔機能管理の一環として義歯に対応していくことは、かかりつけ歯科に課された重要な役割である。本シンポジウムでは、こうした観点から、認知症の人の食を支えるために歯科ができることについて、義歯に関する認知症の人への歯科治療ガイドラインを踏まえて、皆さんと改めて考えてみたい。

(COI開示:なし)