The 32nd Congress of the Japanese Society of Gerodontology

The 32nd Congress of the Japanese Society of Gerodontology

Jun 11 - Jun 13, 2021Held Online
The Congress of the Japanese Society of Gerodontology
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Jun 11 - Jun 13, 2021Held Online

[SY2-1]口腔リハビリテーション多摩クリニックにおけるIoT・AI や遠隔機器を活用した医療・保健活動
日本歯科大学口腔リハビリテーション多摩クリニックが実践するICTを用いた教育および診療への応用について

○菊谷 武1(1. 日本歯科大学口腔リハビリテーション多摩クリニック)
【略歴】
1988年 日本歯科大学歯学部卒業
2001年10月より 附属病院 口腔介護・リハビリテーションセンター センター長 
2005年4月より助教授
2010年4月 教授
2010年6月 大学院生命歯学研究科臨床口腔機能学教授
2012年1月 東京医科大学兼任教授
2012年10月 口腔リハビリテーション多摩クリニック 院長

東京医科大学兼任教授 広島大学客員教授
岡山大学、北海道大学、日本大学松戸歯学部、 非常勤講師

著書 
『誤嚥性肺炎を防ぐ安心ごはん』女子栄養大学出版
『歯科と栄養が出会うときー診療室からはじめるフレイル予防のための食事指導』医歯薬出版
『あなたの老いは舌から始まる』NHK出版
『ミールラウンド&カンファレンス』医歯薬出版
『チェサイドオーラルフレイルの診かた』医歯薬出版
ICT(Information and Communication Technology;情報通信技術)の進歩により、当クリニックでは、かねてから、摂食嚥下リハビリテーションにおけるオンライン診療を発達期の患者(永島ら、日摂食嚥下リハ会誌2019)やミールラウンドにおいて実践してきた。COVID-19感染蔓延にあたり、受診をためらうケースが増えたため、2020年に発令された緊急事態宣言下において、オンライン診療を積極的に活用した。オンライン診療の効果の検証を目的に、傾向スコアマッチングによって対象者(52名、平均年齢4歳)を選定し検討した。摂食機能獲得段階の変化は対面診療群、オンライン診療群ともに、初回に比べて発達段階が有意に向上していた。また、獲得段階の向上の変化に両群間の差はみられなかった。この結果、オンライン診療は対面診療と同等の効果をもつと考えられた(田村ら、日本歯科医学会プロジェクト研究報告書、2020)。
 高齢者についても同様の理由により、緊急事態宣言中にオンライン診療を多く取り入れ、その実態を報告した(古屋ら、老年歯学、2021)。対象は対面診療中断となった21例(平均年齢77歳)とした。医療職もしくは介護職の同席した「Doctor to Patient with Nurse(D to P with N)」 での診療形態を行った症例は8例あった。オンライン診療中(2か月間)に、FILSが向上した者は3名、低下した者は2名、変化のなかった者は16名であった。発熱を4名に認めたが、いずれも入院には至らなかった。体重減少率が3%以上の者はいなかった。オンライン診療に対する意識の調査を行った(古屋ら、本大会発表予定)。オンライン診療にはおおむね好意的であったが、高齢患者が使用機器の接続や機器操作について不安を訴え、デジタル・デバイドの問題が明らかになった。
 また、地域において多職種連携を目的としたコミュニケーションツールを多用し患者の支援を実施してきた(戸原ら、口腔リハビリテーション学会、2016)。ここで用いるコミュニケーションツールは、クリニックの立地する人口12万人の東京都小金井市では、287アカウントが登録され、医科病院、クリニック、薬局、訪問看護ステーションなどが参加している。さらに、当クリニックでは、近隣のホスピスおよび神経専門病院と定期的に症例検討をオンラインで行っている。この場では、通常の診療情報提供書やICTコミュニケーションツールでは、共有できない情報をより確認しあうことが可能である。
 当クリニックでは、歯学部学生を在宅診療に同行する実習を行っている。感染蔓延によって、本年は、Virtual Reality (VR)画像を用いた疑似体験に置き換えた。学生からは、歯科医療スタッフと患者や家族との関係、他の職種との関係が把握できたとの意見が多く聞かれた(仲澤ら、本大会発表予定)。
 ICT技術の進歩により、これまでも本領域における応用も模索されてきたが、制度上の問題もあり、迅速には進まなかった。今般のCOVID-19感染蔓延により、非接触、密回避の必要性が高まる中、ICTの利用を促進することが急務と考える。