The 32nd Congress of the Japanese Society of Gerodontology

The 32nd Congress of the Japanese Society of Gerodontology

Jun 11 - Jun 13, 2021Held Online
The Congress of the Japanese Society of Gerodontology
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Jun 11 - Jun 13, 2021Held Online

[SY4-3]「8020その先」- 多職種連携における歯科の立ち位置の視点で考える

○岩佐 康行1(1. 原土井病院 歯科/ 摂食・栄養支援部)
【略歴】
2000年 東京医科歯科大学大学院口腔老化制御学分野 修了
     東京医科歯科大学歯学部附属病院高齢者歯科 医員
2001年 聖隷三方原病院 リハビリテーション科歯科を開設
     原土井病院歯科 常勤医
2020年 原土井病院 副院長,歯科部長,摂食・栄養支援部部長を兼務

臨床教授  九州大学歯学部(高齢者歯科・全身管理歯科)
非常勤講師 東京医科歯科大学(歯学部口腔保健学科)
      九州大学(高齢者歯科・全身管理歯科/ 医学部保健学科)
      九州歯科大学(老年障害者歯科学分野/ 総合診療学分野)
      博多メディカル専門学校(歯科衛生士科)
男女別百歳以上高齢者数の年次推移(厚生労働省)によると,2020年9月1日現在における100歳以上の高齢者は80,450人となっている.さらに,国立社会保障・人口研究所の将来人口推計によると,100歳以上の高齢者は今後も増え続け,2025年には15,4000人,35年には319,000人,50年には684,000人に上ると想定されている.
口腔内に目を向けると,1989年に8020運動が開始された当時の達成率は1割にも満たなかったが,2005年の歯科疾患実態調査で2割を超え,2011年の調査では4割を,そして2016年の調査では5割を超えるまでになっている.8020達成と健康長寿との関連性,あるいは,現在歯数が減っても機能歯数を保ち口腔機能を維持向上させることの効果,これらを示唆する報告は多い.このように「歯を残す」ことは健康長寿に貢献する歯科医療の果たすべき重要な役割であり,おそらく百寿者にもあてはまると考えられる.
その一方で,80歳を超えると医療・介護の必要度が急に高くなることも,また事実である.医療・介護の現場では,要介護高齢者の歯を残すことの困難さやリスクが,しばしば問題となる.また,超高齢者では義歯非使用の患者が増えてくるが,なかには義歯の使用を強く拒否する者がいて対応に苦慮することがある.このような患者が今後さらに増えると予想されるなかで,我々はどう対応すればよいのか,未だ明確な基準はない.
そこで,本シンポジウムでは「8020その先」における歯科の役割について,百寿者の健康感や人生を見据えた多職種連携のアプローチを俯瞰し,連携の中における歯科医療者の立ち位置という視点で検討したい.まず,飯沼利光先生より慶應義塾大学医学部百寿総合研究センター85歳高齢者研究から得られた知見,特に口腔に関するものについてご講演いただく.85歳を超えてなお活動的な者と,そうではない者の特徴について知見を深めたい.次に,増井幸恵先生より老年的超越と心理的 well-being についてご講演いただく.前期・後期高齢期とは異なり,85歳以上の超高齢者においては身体機能の低下に対して心理的に適応し,心理的well-beingの維持・向上が認められるとの報告がある.歯を残すことが難しくなった者を支援するにあたっての参考となるであろう.最後に,演者が百寿者とその介護者へのインタビュー動画を提示する予定である.居宅および施設で生活されている方を候補としているが,新型コロナウイルス感染症の流行により,抄録作成時点ではインタビューが実施できていないことをお詫びする.超高齢社会を迎えて,これまで歯科医療が行ってきた,歯を残す,口腔機能を維持向上させることの重要性は増している.一方で,これらの対応が困難となった超高齢者をどのように支援していくのか,本シンポジウムがその参考となれれば幸いである.