The 34th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

The 34th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

Jun 16 - Jun 18, 2023PACIFICO Yokohama
The Congress of the Japanese Society of Gerodontology
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Jun 16 - Jun 18, 2023PACIFICO Yokohama

[SY7-5]人生の最終段階を迎える人に対するアプローチ

○菊谷 武1(1. 日本歯科大学口腔リハビリテーション多摩クリニック 院長・ 教授)
【略歴】
1988年 日本歯科大学歯学部卒業
2001年10月より 附属病院 口腔介護・リハビリテーションセンター センター長 
2005年4月より助教授
2010年4月 教授
2012年1月 東京医科大学兼任教授
2012年10月 口腔リハビリテーション多摩クリニック 院長

【著書】
『超高齢社会の補綴治療戦略―終末期の口腔を知らない歯科医師に向けたメッセージ』医歯薬出版、『誤嚥性肺炎を防ぐ安心ごはん』女子栄養大学出版 、『歯科と栄養が出会うときー診療室からはじめるフレイル予防のための食事指導』医歯薬出版 、『あなたの老いは舌から始まる』NHK出版 、『ミールラウンド&カンファレンス』医歯薬出版 、『チェサイドオーラルフレイルの診かた』医歯薬出版 、『絵で見てわかるー認知症「食事の困った!」に答えます』女子栄養大学出版 、『食べる介護がまるごとわかる本』メディカ出版
【抄録(Abstract)】
「終末期」明確な定義はないが、一般的には、病気や老衰、障害の進行により死に至ることが回避するいかなる方法もなく、予想される余命が3か月以内程度の意味に使われることが多い。最近では、「人生の最終段階」という言葉が利用されるようになってきている。終末期には3つのパターンがあるといわれている。Lynnは、がん、心・肺疾患、認知症・老衰のパターに分けて解説している。がんで死亡する人は、終末期においても比較的長い間機能は保たれ、最後の数か月で急激に機能は低下する。心・肺疾患の場合は、急性増悪を繰り返しながら徐々に機能が低下し、最後の時は急に訪れることが多い。 認知症・老衰などの場合は、機能低下した状態が長く続き、ゆっくりと徐々に死に向かう、とされている。私たちは、外来診療、そして、訪問診療において、人生の最終段階にいたるまで、口腔機能管理で立ち会うことが多い。これらのパターンに基づき、口腔機能はどう変化していくのかを予測し対応することが求められる。
 非がん患者は、身体機能障害や認知機能障害が長く経過する場合が多い。そのため、在宅療養中に口腔は長く悪い環境に曝される。バイオフィルムの長期にわたる蓄積のために、う蝕や歯周病が発症、重症化する。それにより、歯冠の崩壊、歯の著しい動揺、補綴物の脱離などの問題が起こる。終末期に向けて、より全身状況も悪化するために、治療を先送りにせずに、適切な時期に予後を見据えた介入が必要となる。先送りにした先には、より困難な状態に置かれることを考慮しておかないといけない。
 在宅がん患者へ訪問は、積極的ながんに対する治療が終わる頃に開始される。がんは進行した状態であるものの身体機能はある程度維持された状態で開始される場合が多いが、その後に起こる急激な変化に合わせた対応が求められる。脱水や著しい口腔機能の低下に伴い、口腔乾燥や口腔カンジダ症を発症することが多い。経口摂取量が減少し、がんによる代謝異常が加わると著しいるい痩を見る。その過程で、口腔機能は低下し、経口摂取が行われなくなると、剥離上皮膜の蓄積や痂疲の形成も見られる。進行したがんの場合、がん関連症状としての腸閉塞や腫瘍による消化器官の圧迫などにより食べたくても食べられない状態が起こる。一方で、がんによる疼痛やうつなどによって食欲不振を招く。在宅支援においては、がんの進行に伴う問題とがん悪液質の問題に対応した支援であるといえる。
 歯科が提供可能な医療は、「歯科治療」「摂食指導」「口腔衛生管理」に大別できる。この3つの武器を上記の3つのパターンにおいて、タイミングを逃さずに、的確に繰り出すことが求められる。