[1-1-SY2-4]Significance of prevention of secondary fragility fracture and Osteoporosis Liaison Service
○Hideaki Ishibashi(Dept. of Orthop. Surg., Ina Hosp.)
わが国の大腿骨近位部骨折は、発生件数が年間20万件を超え、主要な要介護要因であり、死亡率も高め、急性期の医療費や治療後の介護費用が高額となることが知られている。したがってこの骨折は医療の現場だけでなく、社会的、医療経済的に大きな課題であるといえる。一般に、骨粗鬆症性骨折は一次骨折(初発骨折)と二次骨折(他部位に発生する次の骨折)に分かれる。大腿骨近位部骨折を含め、骨粗鬆症性骨折後は二次骨折の発生確率が2倍以上に増す。したがって、骨折後は確実な薬物治療を含む二次骨折予防が不可欠である。また薬物治療だけでなく、運動や栄養も、そして転倒予防も重要である。大腿骨近位部骨折の増加は世界的な問題であり、英国では1990年代に骨折リエゾンサービス(Fracture Liaison Service)が始まった。FLSは多職種で協働して二次骨折を予防する取り組みである。1998年からの10年間で、FLSに積極的に取り組んだ英国のGlasgow地域では、大腿骨近位部骨折が3.6%減少した。この間、英国全体では大腿骨近位部骨折が17%増加していた。この結果を受けて欧米でFLSが広がり、以来、骨粗鬆症性骨折の減少効果や費用対効果について多く報告されている。わが国では、2012年から、骨粗鬆症の予防や一次骨折の予防も含めて多職種で取り組む骨粗鬆症リエゾンサービス(OLS:Osteoporosis Liaison Service)が日本骨粗鬆症学会を中心に始まっている。現在3600名の医療多職種が骨粗鬆症マネージャーの資格を取得して活躍している。また最近、日本版のFLSクリニカルスタンダードが策定され、OLSの現場に広がりつつある。大腿骨近位部骨折の急性期の治療を担当する整形外科医には、FLSの重要性を理解し、骨折後の骨粗鬆症薬物治療を確実に開始することはもちろん、OLSをリードするChampion Doctorになることが強く期待されている。