[1-4-EL2-2]Application of clinical guideline for hip joint disease
○Keiichiro Ueshima(Dept of Orthop. Surg., Kyoto Interdiscliplinary Institute Hospital Of Community Medicine)
診療ガイドラインとは、診療上の重要度の高い医療行為について、エビデンスのシステマティックレビューとその総体評価、益と害のバランスなどを考量して、患者と医療者の意思決定を支援するために最適と考えられる推奨を提示する文書」と定義されている(Minds診療ガイドライン作成マニュアル 2017)。診療ガイドラインは臨床において患者、医療者共に参考とされ、患者の予後を改善することを目標に、最適な医療を実践するための資料である。日本整形外科学会からは股関節疾患に関する診療ガイドラインとして変形性股関節症、特発性大腿骨頭壊死症、大腿骨頚部/転子部骨折が作成されている。診療ガイドライン策定に関わった経験から診療ガイドラインの変遷、活用法、今後の課題について解説する。診療ガイドラインは、重要臨床課題に対する疑問(クリニカルクエスチョン)とこれに対する回答(推奨)が基本構造となっている。推奨は論文のエビデンスレベルのみで決定されるのではなく、専門家の意見のみならず患者の希望や益と害のバランス、経済評価なども参考にして決定される。また推奨内容については普遍的なものでもなく、医療の変化や新たなエビデンスによって適宜改定してく必要がある。検索した論文内容を吟味した全体内容をエビデンスの総体として質的評価と推奨の強さを決定していく方法としてGRADEアプローチが提唱されている。診療ガイドラインは診療の大きな道筋を示すものであって、推奨以外で実際に行われている医療を否定するものではない。EBMに基づく医療を実践するための資料として活用しながら、臨床医はさら経験を積んで、技術を磨き、知識を深める努力を重ねなければならない。明確な推奨を導くことができない臨床課題こそが今後の医学研究の課題であり、トランスレーショナルリサーチとして股関節学会全体で取り組むべきテーマともなる。