第47回日本股関節学会学術集会

第47回日本股関節学会学術集会

Oct 23 - Nov 30, 2020
第47回日本股関節学会学術集会

第47回日本股関節学会学術集会

Oct 23 - Nov 30, 2020

[2-4-EL4-1]Material science-based strategies for postoperative complications after THA

Kengo Yamamoto(Dept. of Orthop. Surg., Tokyo Medical Univ.)
本邦における人工股関節置換術(THA)施行件数はここ10年間で倍増し、現在では約65,000件が施行されるようになった。一方、世界各国の人工関節登録調査(レジストリー)データの集積により、THAの現状をより正確に把握できるようになってきた。初回THA術後合併症に関しこれらビックデータが指摘するのは、依然として感染、脱臼、弛みの問題である。脱臼・感染による再置換は主に術後5年までに多く、その後経過年数が長くなるほど弛みに伴う問題へとシフトしていく。したがって、更なる長期成績向上には弛み対策が必須であり、特に摺動面インプラントに関する正しい材料学的知見を備えることは関節外科医にとって非常に重要である。90年代後半から本格的に臨床導入された高度架橋ポリエチレンなどバイオマテリアルに関する研究・開発が目覚ましい発展を遂げ、弛み発生率が大幅に低減したことは周知の事実である。しかしこれは弛み発生の時期が単に先送りされただけであるという考え方もでき、摩耗と弛みの問題が完全に解決したわけではなく、将来的にはやはり材料科学的耐用性という問題に直面する可能性がある。THA施行件数の増加は今後も続くことが予想され、これに伴い術後合併症の発生件数自体も増加していくことが危惧されるため、引き続き治療技術の向上とともに個々の患者に使用するインプラントの材料戦略の構築も必須になると考えられる。材料学の知識は、摺動面摩耗に起因する弛みの問題解決だけに生かされるものではなく、脱臼や感染防止対策の構築にも非常に役立つと考えられる。本講演では、THA術後合併症対策を材料学的視点でとらえ概説させていただきたい。本講演が、材料・デザインを含めたインプラント選択に際しての適切な判断の一助となれば幸いである。