[2-4-EL4-2]How do we take measures against bone fragility and aseptic loosening after an arthroplasty?
○Mitsuru Saito(Dept. of Orthop. Surg., The Jikei Univ. School of Medicine)
変形性関節症は骨棘形成といった増骨性変化をきたす疾患であるのに対して,骨粗鬆症は骨量や骨質の低下をきたす疾患であるころから,両疾患の合併は議論が分かれている.しかし両疾患に共通した病態,危険因子が明らかになれば,両疾患の保存療法からインプラント術後の長期成績の向上に寄与すると考える.長野コホートおよび当院の関節症例の組織生検,臨床調査から,骨粗鬆症,関節症の共通した危険因子として,酸化ストレスの亢進に伴う骨,軟骨のコラーゲンの過剰老化が抽出された.さらに,こうした酸化ストレスの亢進は,人工関節に用いるポリエチレンの酸化劣化を誘導することも分かってきた.人生100年時代を迎え,整形外科医はただインプラント手術を行い,それで終わりという時代ではなくなった.全身の骨代謝のみならずインプラント周囲の骨代謝を理解し,介入することにより,インプラントの非感染性の緩みや,インプラントの周囲骨折を予防できる可能性がある.骨は常に新陳代謝を営んでいることから,薬剤などによる介入により反応する臓器である.しかし,介入を中断すれば,再び骨吸収の亢進や酸化ストレスの亢進により骨量および骨質の劣化により骨脆弱性は進行する.長期間の治療継続が必要となるため,非定型骨折や顎骨壊死を招かない薬剤選択,逐次療法が必要となる.サルやイヌ,家兎といったヒト骨と同じくリモデリングを営む大型動物に対する薬剤の投与実験から,薬剤の骨量や骨質に対する影響をあきらかにしてきた.骨吸収抑制剤であるビスホスホネート製剤は,薬剤毎に骨量・骨質がことなることを見出した.また,骨形成促進剤,活性型ビタミンD,SERMsが骨量,骨質に及ぼす影響も明らかにしてきた.演者らの施設では,人工膝関節置換術の術前後に骨代謝マーカー,骨質マーカー,および組織分析を行っている.同時に,術直後から骨粗鬆症治療の介入研究を行い,骨代謝や骨質に及ぼす影響を検討してきた.人工関節術後に骨代謝を制御することが15年後の再置換率を半減させることが報告されている.両側同時人工関節術後早期に骨粗鬆症治療を開始すると,高まった骨形成を抑制することなく骨吸収を抑制することがわかった.また,同時に骨質劣化も誘導しないことも見出している.本講演では,人工関節術後の合併症対策として骨代謝の理解と制御の重要性について述べる.