第47回日本股関節学会学術集会

第47回日本股関節学会学術集会

Oct 23 - Nov 30, 2020
第47回日本股関節学会学術集会

第47回日本股関節学会学術集会

Oct 23 - Nov 30, 2020

[2-4-EL5-1]Skeletal pathomorphology and osteoarthritis of the hip

Tetsuya Jinno(Second Dept. of Orthop. Surg., Dokkyo Medical Univ. Saitama Medical Center)
 股関節は球関節であり、特に大腿骨頭が寛骨臼に深く包まれている構造から臼状関節と呼ばれる。高い拘束性により荷重関節として必要な支持性・安定性を獲得しているとともに、適度の寛骨臼前方開きや大腿骨頚部の前捻・くびれ(オフセット)といった構造から一定の可動性も有している。これらの形態の異常は、応力集中や不安定性を惹起し、関節の退行変性の原因となる。 股関節の代表的な形態異常である寛骨臼形成不全は、冠状面における寛骨臼の低形成により定義されるのが一般的であるが、大腿骨側も含め種々の形態的特徴が見出されており、バイオメカニクス研究などによってもその意義が検証されてきた。わが国の変形性股関節症の大半は寛骨臼形成不全に由来し、各種の治療においてはこれらの骨形態異常に留意する必要がある。 一方で、寛骨臼側のpincer病変や大腿骨側のcam病変も、変形性股関節症の原因にもなりうる骨形態異常として知られるようになった。海外の疫学研究で、寛骨臼形成不全が変形性股関節症の危険因子であるかについて時に相反する結果が得られてきたことも、FAIによる変形性股関節症の存在で説明可能かもしれない。しかしながら、比較的新しい概念であることから、定義や診断基準が確立しているとはいえない状況のままFAIについての報告がなされてきた経緯があり、特に欧米に比し寛骨臼が低形成の傾向にあるわが国においては、十分な病態評価が行われずに治療が進められてしまうことによる問題が危惧された。そのような状況を鑑み、日本股関節学会では2015年に世界に先駆けてFAIの診断指針を作成し、さらにその指針を用いて2017年から多施設調査を行っている。1年間の股関節初診患者約2,500例を対象に調査したところ、診断として形成不全性股関節症が50%強を占めていたが、これは約10年前の類似の調査報告(約80%)より少なかった。一方、原因の明らかでない一次性股関節症は9→17%と増加し、また新たな診断名としてFAIが約6%を占めた。FAIの約8割がcamないしはmixed病変であり、スポーツ活動の関与はpincer病変よりcam病変に多かった。camやpincerの診断には正確な画像診断が重要であり、その検証も進めている。