第16回日本クリティカルケア看護学会学術集会

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Jul 1 - Dec 31, 2020Web開催
Japan Academy of Critical Care Nursing
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[SY1-2]PICS-F 家族へのエンドオブライフケア

○櫻本 秀明1(1. 茨城キリスト教大学看護学部看護学科)
 Post-Intensive Care Syndrome-Family (PICS-F)とは、ICU退室後患者の家族にあらわれるPICS症状のことである。PICS-Fの主な疾患・症状の発生率は、1年後でうつ症状6-43.4%、不安15-24%、PTSD33.1-49.0%である[1]。調査方法や期間がバラバラなため、単純な比較は難しいが、短期間のうちらか症状が観察され、長期にわたって高い割合で推移する。ICUに入室した患者の家族もまた、戦っているということだろうか。
 さらに、不幸にもお亡くなりになったご家族であれば、なおさらである。死者との関係が親密であるほど、複雑性悲嘆のリスクは高いと言われ[2]、病棟で接する機械の多い家族ほどその傾向が高いのかもしれない。悲嘆そのものは一般的で、多くのひとにみられる普通のことである。だが遺族の一部には、通常よりも長く病的な喪が続き(6ヶ月以上)、精神・身体的な症状となってあらわれ日常生活に支障をきたす人たちがいる。こうした通常より長く喪の状態が続き生活に支障をきたすことを、複雑性悲嘆(Complicated Grief)、持続性複雑死別障害 “Persistent complex bereavement disorder”“ prolonged grief disorder”などと呼ぶ。身体症状を有するケースもあり、医療介入が必要となる。他のPICS-F症状も同じである。
 ICUに入室した家族、特に死や別離、存在を意識した家族に、我々は何ができるのだろうか。PICS-F症状、複雑性悲嘆を予防する方法はあるのだろうか。今後、ますます変わる医療事情の中で、何ができるのか考えてみたい。



1. Inoue, S., et al., Post‐intensive care syndrome: its pathophysiology, prevention, and future directions. Acute Medicine & Surgery, 2019.

2. Shear, M.K., Complicated grief. New England Journal of Medicine, 2015. 372(2): p. 153-160.