[W1-03]「侵襲的陽圧換気の設定の変更」を活用した入浴介助の例
○奥山 広也1(1. 山形県立中央病院)
【目的】特定行為研修制度が始まり、研修修了者は3,307人(2021年4月時点)になった。しかし特定行為を活用する体制整備が困難であるという看護管理者や,学んだことを活用できないという修了生も多いといわれている。国内において特定行為に関する論文報告は少なく、具体的にどのように特定行為を看護ケアに活用できるか模索している看護師は多いと考えられる。そこで今回、人工呼吸器管理を要する患者に対して、Air Liquide Medical Systems(フランス)社製、人工呼吸器MONNAL T60を使用し、特定行為「侵襲的陽圧換気の設定の変更」を活用し入浴介助を行った症例を経験したため報告する。
【倫理的配慮】本研究は当院の倫理審査委員会の承認を得ている。
【事例紹介】50歳代男性で脳幹出血を発症し集中治療室に入院された。JCS 100であり気道管理と呼吸管理が必要であったため侵襲的陽圧換気を導入した。自発呼吸が弱く、侵襲的陽圧換気からの離脱は困難であったため、気管切開術を施行し、第16病日に一般病棟に転棟となった。
【入浴の実際】当該病棟の看護師から依頼を受けたクリティカルケア認定看護師が、事前に患者の情報収集を行い、入浴が可能であると判断した。当該病棟看護師と入浴時刻を調整した。ベッドサイドでは人工呼吸器Servo i を使用していたが、入浴時にMONNAL T60へ変更した。湿気や水濡れ対策としてMONNAL T60を吸排気孔を塞がないようにしつつ、透明ビニールで覆った。その他に、浴槽と十分な距離をとり、空調を強化した。また、入浴中は生体情報のモニタリングが持続的に把握しにくいため,呼吸回数や呼吸の深さ,胸郭の動きの左右差,呼吸補助筋の使用の有無,意識レベル,気道分泌物の有無,橈骨動脈の拍動の強さを継続的に確認した。入浴に伴う身体への負荷を考慮し、人工呼吸器設定を同期式間欠的強制換気モード(従圧式): FIO230→40%、調整圧 8 cmH2O、換気回数 10→15回/分、サポート圧6→8 cmH2O、PEEP 6 cmH2Oに調整した。クリティカルケア認定看護師が気道、呼吸、循環の管理を、当該病棟の看護師2人が全身を洗浄した。バイタルサインや身体所見の悪化なく入浴を終えることができた。
【考察】①安全面、②看護ケア、③看護師や医師の負担軽減の3つの視点から考察する。①安全面ではさらに1)患者管理と2)機器管理にわけられる。入浴中は生体情報モニターを持続的に使用しにくいため、身体所見から患者状態を把握する必要がある。特定行為研修で学んだ臨床推論や日常業務で培ってきたアセスメント力によって、患者の身体所見から患者の状態を推察し、入浴が続行可能かどうかの判断を行うことができた。機器管理については、浴室という水濡れのリスクや湿度の高い環境下で精密機器を使用せざるを得なかったが、機器の特徴や取り扱い時の注意点を理解して水濡れ対策を行ったことで安全に使用することができたと考える。②看護ケアの視点では入浴によるリラクゼーション効果を長期臥床患者にもたらすことができたと考える。さらに快刺激を促し、患者の持つ自己回復力の促進につながったかもしれない。③スタッフの負担軽減において、これまで侵襲的陽圧換気中の患者を入浴させることは技術的にもマンパワー的にも困難だったと推測される。そこで特定行為研修修了者が患者と機器の管理を包括的に行うことで、医師および看護師の負担軽減につながったと考えられる。
【まとめ】特定行為を活用することで、看護ケアの拡大が本症例のような形で実現され、患者の生活の質を向上させる一つの手段になる可能性がある。
【倫理的配慮】本研究は当院の倫理審査委員会の承認を得ている。
【事例紹介】50歳代男性で脳幹出血を発症し集中治療室に入院された。JCS 100であり気道管理と呼吸管理が必要であったため侵襲的陽圧換気を導入した。自発呼吸が弱く、侵襲的陽圧換気からの離脱は困難であったため、気管切開術を施行し、第16病日に一般病棟に転棟となった。
【入浴の実際】当該病棟の看護師から依頼を受けたクリティカルケア認定看護師が、事前に患者の情報収集を行い、入浴が可能であると判断した。当該病棟看護師と入浴時刻を調整した。ベッドサイドでは人工呼吸器Servo i を使用していたが、入浴時にMONNAL T60へ変更した。湿気や水濡れ対策としてMONNAL T60を吸排気孔を塞がないようにしつつ、透明ビニールで覆った。その他に、浴槽と十分な距離をとり、空調を強化した。また、入浴中は生体情報のモニタリングが持続的に把握しにくいため,呼吸回数や呼吸の深さ,胸郭の動きの左右差,呼吸補助筋の使用の有無,意識レベル,気道分泌物の有無,橈骨動脈の拍動の強さを継続的に確認した。入浴に伴う身体への負荷を考慮し、人工呼吸器設定を同期式間欠的強制換気モード(従圧式): FIO230→40%、調整圧 8 cmH2O、換気回数 10→15回/分、サポート圧6→8 cmH2O、PEEP 6 cmH2Oに調整した。クリティカルケア認定看護師が気道、呼吸、循環の管理を、当該病棟の看護師2人が全身を洗浄した。バイタルサインや身体所見の悪化なく入浴を終えることができた。
【考察】①安全面、②看護ケア、③看護師や医師の負担軽減の3つの視点から考察する。①安全面ではさらに1)患者管理と2)機器管理にわけられる。入浴中は生体情報モニターを持続的に使用しにくいため、身体所見から患者状態を把握する必要がある。特定行為研修で学んだ臨床推論や日常業務で培ってきたアセスメント力によって、患者の身体所見から患者の状態を推察し、入浴が続行可能かどうかの判断を行うことができた。機器管理については、浴室という水濡れのリスクや湿度の高い環境下で精密機器を使用せざるを得なかったが、機器の特徴や取り扱い時の注意点を理解して水濡れ対策を行ったことで安全に使用することができたと考える。②看護ケアの視点では入浴によるリラクゼーション効果を長期臥床患者にもたらすことができたと考える。さらに快刺激を促し、患者の持つ自己回復力の促進につながったかもしれない。③スタッフの負担軽減において、これまで侵襲的陽圧換気中の患者を入浴させることは技術的にもマンパワー的にも困難だったと推測される。そこで特定行為研修修了者が患者と機器の管理を包括的に行うことで、医師および看護師の負担軽減につながったと考えられる。
【まとめ】特定行為を活用することで、看護ケアの拡大が本症例のような形で実現され、患者の生活の質を向上させる一つの手段になる可能性がある。
