第18回日本クリティカルケア看護学会学術集会

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Jun 11 - Jul 31, 2022北九州国際会議場/アジアインポートマートAIM
Japan Academy of Critical Care Nursing
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Jun 11 - Jul 31, 2022北九州国際会議場/アジアインポートマートAIM

[W1-10]ICU新卒看護師の組織社会化を促進する要因

○吉田 真寿美1、清水 玲子2、村角 直子2(1. 金沢医科大学病院、2. 金沢医科大学大学院看護研究科)
ICU看護師に求められる看護実践能力は、複雑な病態アセスメント、迅速な臨床判断、多職種連携、危機状態にある家族対応など多岐に渡り、新卒看護師が実践力を獲得することは困難を要する。ICU新卒看護師が実践力を発揮し職場に適応していくためには、組織の規範や価値を受け入れ、良好な人間関係を構築していくことが必要とされる。
【目的】本研究の目的は、ICU新卒看護師の組織社会化を促進する要因を明らかにすることである。
【方法】研究デザインは、質的記述的研究である。研究対象者は、看護基礎教育修了後直ちにICUに就職した、新人の段階にある1~3年目の看護師10名とした。データ収集期間は、2020年7月~8月。データ収集方法は、半構成的面接を実施した。調査内容は、卒後1年目について、組織社会化の構成要素である1.基本的姿勢と態度の形成、2.看護実践に必要な看護技術の獲得、3.安全に業務を行えるための行動、4.組織の規範や価値を理解して行動すること、5.組織の中で良好な人間関係を築くこと、6.自分が組織で役割を発揮すること、のそれぞれを促進した要因を調査した。分析方法は、Berelsonの内容分析の手法を参考に質的帰納的に分析した。本研究は金沢医科大学医学研究倫理審査委員会の承認を得て実施した(承認番号:I516)。
【結果】研究対象者の概要は、性別は女性が7名、男性が3名、平均ICU経験通算年数は1年7か月であった。ICU新卒看護師の組織社会化を促進する要因として、14のカテゴリーが明らかとなった。《指導責任者から社会人としての心得を教わる》《人間関係を築く契機》《男性看護師同士のグループダイナミクス》《情緒面を支える組織風土の醸成》《問題解決を促す人間関係》《臨床実践能力獲得に向けた教育体制》《ICU看護の基盤固めに向けた主体性を促す教育》《ICU看護を修得するための段階的な教育》《自律した行動を導く経験学習》《責任を自覚した生命危機に直結する経験》《看護から得た自己効力感と成長の実感》《生命倫理に向き合う体験》《自己解決に繋がる防衛機制》《情緒面を支えるインフォーマルサポート》
【考察】ICU新卒看護師は専門性を踏まえた高度な看護実践能力が求められるため緊張感が高い。何でも聞ける安心感や辛い局面での励ましといった情緒的支援が受けられる組織風土は、職場適応を促し組織の中で良好な人間関係を築くために重要な要素であったと考える。気付きを促し主体性を育む教育は、自律性や自己研鑽力を養っていたと考えられる。また、教育者からの承認などコーチングを活用した教育は、ICU新卒看護師の主体性を支えており、教育者の資質や能力は新卒看護師の基盤形成に大きく影響すると考える。さらに、生命の危機状態にある重症患者の死への直面やデスカンファレンスを通して生命倫理に向き合い、人間の尊厳を重視する看護観を再構築していた。この看護観を体現できるよう支援し、実践経験を積み重ねることは、ICU看護の専門性を究めることに繋がるといえる。一方でICU新卒看護師は常に死と隣り合わせである生命の危機状態にある患者と向き合い、ストレスフルな状況にあり、心理的防御機制や仕事以外のインフォーマルサポートを用いながら経験的にストレスマネジメントをしていた。ストレスマネジメント教育により有効なコーピング方略が持てるよう支援することが離職防止に繋がると考える。
【結論】ICU新卒看護師に必要な教育支援として、組織風土の醸成、主体性を育む教育、教育者の育成、倫理教育、ストレスマネジメント教育の重要性が示唆された。