第18回日本クリティカルケア看護学会学術集会

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Jun 11 - Jul 31, 2022北九州国際会議場/アジアインポートマートAIM
Japan Academy of Critical Care Nursing
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Jun 11 - Jul 31, 2022北九州国際会議場/アジアインポートマートAIM

[W1-12]「小児の気管挿管介助ルーブリック」の開発と教育評価

○吉井 恵1、辻尾 有利子1、篠原 実加1、井林 寿恵1(1. 京都府立医科大学付属病院)
【目的】 PICUは、新生児から青年期まで幅広い年齢層を対象とし、重症小児患者の治療において、気管挿管や人工呼吸管理は必須である。小児の予備力の少なさから、気管挿管介助を行う看護師にも適切な準備と観察、対応が求められ、その緊張感は高い。今回、小児の気管内挿管介助を迅速かつ安全に実施できる看護師の育成を目指して、学習評価基準を開発し、教育評価を実施したので報告する。
【方法】 1.「小児の気管挿管介助ルーブリック(以下、ルーブリック)」はルーブリック作成手順に沿い、研究者で議論を繰り返し、①学習課題、②評価尺度、③評価観点、④評価基準の4つの構成要素で表記述した。①学習課題は、患者の安全性と安楽性を確保しながら気管内挿管が成立するように医師の介助を行うことができる、②評価尺度は理想的な看護師3点、成長途中の看護師2点、経験の浅い看護師1点の3段階、③評価観点は、解剖生理学的特徴の理解、物品・手順の理解、目的と適応の理解、個別性に応じた準備、気管挿管の介助、異常の早期発見と対応、良好なチームワーク、前向きな姿勢、内省の9項目(総得点27点)で構成し、④評価基準はそれぞれの尺度に見られるパフォーマンスの特徴を説明する記述語とした。2.2021年4月〜2021年12月にA病院PICUに勤務する看護師を対象に、気管挿管介助に関する講習(講義、シミュレーション、デブリーフィング)の受講、講習前後のルーブリック評価、感想を問う質問紙への回答を依頼した。3.ルーブリック評価は評価観点毎の得点と総得点の単純集計を行った。質問紙の項目は単純集計と自由記載は内容分析を行った。4.倫理的配慮:本研究はA大学倫理委員会の承認を得た上で、対象者には研究協力の諾否によって不利益を被らないこと、自由意志に基づく参加であることを説明し、調査は無記名で実施した。
【結果】研究協力者は19名で、看護師経験平均年数は11.1年、PICU経験年数は5.4年であった。講習前のルーブリック総得点(平均)は14.7点で、「前向きな姿勢」が最も低い評価観点であった。講習後のルーブリック総得点(平均)は16.2点に上昇し、「気管挿管の介助」が最も低い評価観点であった。講習前後ともに、PICUのクリニカルラダー (レベルⅠ〜Ⅴの5段階)においてレベルⅣ以上は平均点を上回り、レベルⅢ以下は平均点を下回っていた。また、質問紙では、学習目標の把握、到達レベルの把握、課題の把握、学習意欲の向上に関して100%ができると回答し、現場での活用については96%ができると回答した。講習の感想として「他者の手技を見ることでの学び」「実際の物品を用いた練習によるイメージ化」「効果的なフィードバック」、「知識や技術の維持と向上」「部署で気軽にできる練習機会」等の肯定的な意見が多かった。
【考察】 ルーブリックの開発は、小児の気管挿管介助に必要な実践力を可視化し、自己の学習目標や学習意欲の向上に寄与し、臨床で活用できる学習評価基準であると考えられた。また、講習後のルーブリック評価点は上昇しており、今回行った講習の教育効果を示すものと考えられた。クリニカルラダー レベルⅢ以下の看護師のルーブリック評価点は平均を下回っており、今後、臨床経験と学習の機会を提供していく必要がある。
【結論】 ルーブリックは臨床で活用できる学習評価基準であり、気管挿管介助を安全・安楽に行える看護師の育成を目指して、シミュレーションを含めた教育活動を継続していく。