第18回日本クリティカルケア看護学会学術集会

第18回日本クリティカルケア看護学会学術集会

Jun 11 - Jul 31, 2022北九州国際会議場/アジアインポートマートAIM
Japan Academy of Critical Care Nursing
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Jun 11 - Jul 31, 2022北九州国際会議場/アジアインポートマートAIM

[W1-16]クリニカルシナリオと心不全手帳導入による心不全患者への効果的なセルフケア支援への取り組み

○齋藤 瑳也伽1(1. 株式会社日立製作所 日立総合病院 看護局CCU)
【背景】緊急入院する心不全患者の多くは増悪と寛解を繰り返しており、増悪の要因として家庭での血圧や体重、水分摂取量などの自己管理が不十分なことがあげられる。そこで症状を自覚した入院初期から心不全手帳を活用し、退院後もセルフケア行動がとれるよう支援したいと考えた。また、看護師の患者指導が画一的な説明になっている現状がある。患者のセルフケア行動確立のために、看護師はクリニカルシナリオ(以下、CSとする)で分類、アセスメントし、患者の状態や生活様式に合わせて心不全手帳を活用し、個別性をもってセルフケア支援を行っていく必要性があると考えた。
【目的】心不全手帳とCSを導入し、心不全患者のセルフケア能力の向上とCCU看護師が個別性のあるセルフケア支援が実施できることを目的とする。
【方法】1.研究期間:2021年9月~11月。2.研究対象:CCUに急性心不全の診断で入院した患者5例とCCU看護師21名(研究者、看護師長を除く)。3.研究方法 1)CCU看護師に心不全手帳内容の理解の程度やアセスメントする際にスケールや分類表を活用しているかなどの導入前アンケート実施。2)心不全手帳の役割やCSを活用したアセスメントの必要性、加藤の「ヨーロッパ心不全セルフケア行動尺度」(以下、尺度とする)についての勉強会実施。3)CSと心不全手帳を活用し、アセスメントとセルフケア支援の実施。4)CCU看護師に導入後アンケート実施。導入前後のアンケート結果をウィルコクソン符号付順位検定で分析した(P<0.05)。5)心不全患者に入院時と退院後初回外来時に尺度を用いたセルフケア評価の実施
【倫理的配慮】研究で得られた情報は個人が特定できないように処理し、データ及び結果は研究の目的以外に用いないことを保証し、同意を得た。研究に参加しなくても不利益を生じないこと、同意の撤回がいつでもできることを説明した。アンケート番号の管理については匿名化し、所属施設倫理委員会の承認を得た(2021-57)。 尺度の使用にあたり作成者の許諾を得た。
【結果】アンケートの結果、心不全手帳を理解しているか(p=0.042)、心不全患者に対し個別性を踏まえたアセスメントをしているか(p=0.025)で有意差が得られた。また、90%の看護師がCSでアセスメントし、セルフケア支援を行っていた。 心不全患者に対する入院時と心不全手帳を用いて患者指導した退院後初回外来時の評価では、塩分の少ない食事をとっているという項目(p=0.043)において有意差が得られた。また、尺度でのセルフケア評価の平均値は導入前33.8点から導入後22.8点と全症例で点数の低下(改善)を認めた。
【考察】CCU看護師に心不全手帳の役割とCSを活用したアセスメントの必要性について勉強会を行ったことで、看護師は心不全手帳の内容を理解し、個別性のあるセルフケア指導の実施に繋がった。看護師が心不全手帳を活用し患者指導を行ったことで、患者は自らの入院時の症状や血圧と塩分管理の関連性について振り返り、心不全増悪要因や症状を理解することができたのではないかと考える。また、看護師が入院時のセルフケア能力を評価することで評価点数が高い項目を項目別に指導でき、患者の退院後のセルフケア能力の向上に繋がったと考える。
【結論】1.心不全手帳を導入し、患者教育を行ったことで患者のセルフケア能力の向上が図れた。2.CS及び心不全手帳の導入により、看護師は心不全患者に個別性のあるセルフケア支援を行うことができた。