The 128th Annual Meeting of Japanese Society of Animal Science

The 128th Annual Meeting of Japanese Society of Animal Science

Mar 27 - Mar 31, 2021Kyushu University
The Annual Meeting of Japanese Society of Animal Science
The 128th Annual Meeting of Japanese Society of Animal Science

The 128th Annual Meeting of Japanese Society of Animal Science

Mar 27 - Mar 31, 2021Kyushu University

[CPS2-02]かごしま黒豚の歴史とブランド確立への取組

〇yukiya gouhara1(1.kagoshima prefectural institu for agricultural development,livestock experiment station)
 バークシャー種は通称「黒豚」と呼ばれ,体格は中型。色は黒色であるが「六白」と呼ばれる白い部位が顔 ・ 尾端 ・ 四肢の先端の6ヶ所にある。
 「かごしま黒豚」は日本初のブランド豚であり,①鹿児島県黒豚生産者協議会の会員が鹿児島県内で生産・肥育・出荷・と畜したバークシャー種で,②肥育後期にサツマイモを10~20%配合した飼料を60日以上給与し,③出荷日齢は(概ね) 230日~270日などの認証基準がある。
 また,食肉小売品質基準により,バークシャー純粋種のみが「黒豚」と表示できることになっている。
 鹿児島県は豚の農業産出額,飼養戸数,飼養頭数で全国1位であり,と畜頭数2,693,000頭の内,ブランド認証されている「かごしま黒豚」は約5%の137,000頭であるが,平成18年をピークに黒豚の出荷頭数は減少している。
 かごしま黒豚の歴史は,明治25年にバークシャー種を県の奨励品種に指定し増殖がを行ってきたが,昭和37に日本食肉格付協会による格付制度がが始まり,味や肉質ではなく,重量が小さく背脂肪が厚い黒豚の評価は下がった。
 さらに,発育が遅く産子数が少いなど経済効率の悪さから,高度経済成長期の1970年代には外国産の大型種である白豚に押され絶滅の危機にさらされた。
 昭和46年から黒豚の系統造成事業を始め,発育を改良した第1系統豚「サツマ」が昭和58年に完成し以降,肉質を改良した「ニューサツマ」,「サツマ20001」を造成し,第1系統豚の後継として第4系統の「クロサツマ2015」が平成27年に完成している。
 「かごしま黒豚」は系統豚同士を掛け合わせた「系統間クロス豚」と,農家で維持されている「在来豚」を交配して作出され,消費者に提供されている。
かごしま黒豚のブランド化のため「鹿児島県黒豚生産者協議会」の設立,「かごしま黒豚証明制度創設」,「かごしまブランド産地指定」「かごしま黒豚販売店指定制度」,「かごしま黒豚こだわりの店」などの取り組みを行ってきたが,平成18年の新聞報道で小売店で購入した豚肉の4割にバークシャー以外の混入が認められ,その対策として販売指定店での抜き打ちDNA検査を実施し本物を消費者に届ける努力を行っている。
 かごしま黒豚の肉質特性として,肉の筋繊維が細い,保水性が高い,カルノシン・アミノ酸が多い,脂肪の融点が低いことから,歯切れが良く柔らかい,ジューシー,うま味が多い,脂がサッパリしていることが過去の研究にて分かっていたが,鹿児島大学等との共同研究により白豚及び輸入肉より,甘み・うま味が多く苦み成分が少ないなどおいしさの秘密が解明されたところである。
 それを裏付けるように,スーパーで精肉を取り扱うバイヤーの調査で,全国の主要25品種おブランド豚の中で総合トップの評価を頂いた。
 「かごしま黒豚肉の輸出は,香港やシンガポ-ル,マカオに輸出され,平成30年後は約37トンが輸出されている。
 かごしま黒豚は,農家の高齢化や担い手の減少により,使用戸数,出荷頭数が減少している。また,国産銘柄豚に対抗するため肉の高位平準化と更なるブランド強化がが課題であり,国内外からの需要に応えるため,規模拡大や小規模農家の経営維持支援を行うとともに,更なるブランド力の強化を図るため,新たな系統豚造成に着手し令和10年度の完成を目指しているところである。