The 58th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

The 58th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Jul 21 - Jul 23, 2022Sapporo Convention Center
Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery
The 58th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

The 58th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Jul 21 - Jul 23, 2022Sapporo Convention Center

[I-SY03-03]医師の働き方改革ー小児集中治療医の視点から

大崎 真樹1,2(1.東京都立小児総合医療センター 集中治療科, 2.JCHO中京病院 中京こどもハートセンター)
術前術後にかかわらず、重症児の診療では患者に付きっきりにならざるを得ず、必然的に担当医の拘束時間が長くなる。この長時間労働を改善する方策はいろいろと提案されているが、一つは交代制を導入することである。以前はベッドサイドに張り付く人間=主治医と当たり前のように捉えられていたが、その必要は全くない。集中治療室とは人材を含む医療資源を一ヶ所に集めること、すなわち院内の集約化によって重症診療を効率化したシステムであり、これによって交代制を実現し、不必要な拘束時間を短くすることで労働効率を改善する。演者の属する東京都立小児総合医療センターは年間入室数800名弱の大規模PICUだが、これをスタッフ7名、フェロー11名、計18名にローテーターを加えた20数名の人員でPICU専従医によるユニット管理体制を敷いている。本シンポジウムでは当院PICUの現状や課題を紹介する。
さて、近年PICUの必要性が声高に言われるようになり各地で小規模PICUが作られている。が、昨年の次世代育成シンポジウムでも指摘したように小児医療全体から見るとこれは完全に集約化に逆行している。心臓手術と同じく、重症頻度の低い小児医療ではPICUの施設規模と予後は相関することがはっきりしている。Norwoodを年に1例しか行わない施設があちこちにできたとしたら、どう感じるだろうか?小規模PICUが各地に出来つつあるのは、これと全く同じ図式である。
働き方改革というと労働時間ばかり注目されがちだが、本来の目指すところは「多様な働き方を選択できる社会(by厚労省)」である。大規模施設で人員が集まれば、フルタイムで働くことが難しい医師もワークシェアリングで多様な働き方が可能になる。PICUは効率的な労働のためにはよいシステムであるが、診療レベルを維持しつつ労働効率を高めるためには一定の規模が必要である。PICU新設ばかりを考えるのではなく、小児医療全体を俯瞰した議論をすべきだろう。