[II-SY5-6]小児複雑先天性心疾患の手術術式の決定を支援する心臓シミュレータ “ped UT-Heart” 開発の前向き・介入研究-最終結果と医療機器承認に向けた治験準備
○白石 公1, 黒嵜 健一1, 加藤 愛章1, 盤井 成光2, 鈴木 孝明3, 坂本 喜三郎4, 小田 晋一郎5, 笠原 真悟6, 鷲尾 巧7, 杉浦 清了7, 久田 俊明7(1.国立循環器病研究センター 小児循環器内科, 2.国立循環器病研究センター 小児心臓外科, 3.埼玉医科大学国際医療センター, 4.静岡こども病院 心臓血管外科, 5.京都府立医科大学 小児心臓血管外科, 6.岡山大学病院 心臓血管外科, 7.東京大学大学院 新領域創成科学研究科)
複雑先天性心疾患(CHD)の手術の成功には、解剖学的構造の正確な理解と手術後の心機能の的確な予測が重要である。我々は東京大学で開発されたマルチスケール・マルチフィジックス心臓シミュレータ“UT-Heart”を基盤とし、患者の有限要素心臓モデルを用いて、複雑CHDの血行動態、壁運動、弁の動き、電気生理学をシミュレートすることにより複数の術式の術後の血行動態を比較検討できる“ped UT-Heart”システムを開発した。今回はその有効性と安全性を検証するため、16例の複雑CHD (DORV 5, LIH 3, TOF 2, ccTGA 2, HLHS 1, PTA 1,crisscross heart 1, recurrent SAS 1)を対象とした単群前向き臨床試験(jRCTs052210139)を実施した。主要評価項目は、術者の術後における有用性評価(5段階Likert scale)のessentialとvery usefulの割合において、95%信頼区間の最小値が30%以上と設定した。12例(DORV 4, LIH 3, TOF 1, ccTGA 1, HLHS 1, crisscross 1, recurrent SAS 1 )で外科手術が実施され、9例(75%)がessentialもしくはvery usefulと評価され、95%信頼区間は42.8-94.5%とり主要評価項目を満たした。また具体例として、non-committed VSDを伴うDORVでの心内reroutingを伴うICR可否の決定、ccTGAでのdouble switch手術のデザインの決定、Fontan手術後に肺動静脈瘻を合併したLIH(UVH)症例での心外導管再建術式の検討において有用な情報が得られた。臨床試験では“ped UT-Heart”に起因する有害事象は認められなかった。また本臨床試験の術前(n=16)および別途行われた後ろ向き研究による術後(n=7)シミュレーション値の検証では、シミュレーション結果は実際の臨床値を良好に反映していた。現在は医療機器承認を目指した多施設20症例のおける治験準備中である(各種性能試験、プロトコール確定)。(“ped UT-Heart”は、ジャパンメディカルデバイス社、PIA社、UT-Heart研究所、クロスメディカル社との共同開発による。)


