企業の技術者で学位(博士号)を有する技術系社員には、企業に在籍して日常業務を遂行しながら学位を取得した者が少なくない。DOWAグループを例にすれば入社後の学位取得者は数十名に及んでいる。ここでは筆者の経験を振り返りながら、会社とその社員における学位取得に対する動機付けについて述べる。また、学位取得に向けた大学などでの手続きや取り組み方について紹介する。その上で、学位取得にあたって苦労した点と学位取得後に得た効果(利点)についても述べる。最後にこれらの検討結果を踏まえ、学位取得者が企業で担うべき役割、さらに学位取得を通じた企業活動と大学との連携のあり方について考察する。