[1204]Statistical approaches to discrimination of paleotsunami deposits in the Sendai Plain using geochemical data
○細田憲弘1, 渡邊隆広1, 桑谷立2, 土屋範芳1(1.東北大学大学院環境科学研究科, 2.国立研究開発法人海洋研究開発機構)
司会:土屋範芳(東北大学)
2011年3月11日の東日本大震災は大規模な津波を伴い,その社会的影響も甚大であった.この震災をきっかけとして,津波への危機感や関心が高まっているが,正確な津波被害予測には,過去に発生した大規模な歴史津波による堆積物についての研究が不可欠である.本研究では仙台平野において3か所,9本の土壌試料を採取し,仙台市若林区荒井において十和田火山灰層(AD.915)との層序関係から,代表的な歴史津波である貞観津波堆積物(AD.869)を得ることができた.そして,蛍光X線分析によって貞観津波堆積物の主要元素,微量元素濃度を分析することで地球化学的解析を行い,十和田火山灰層の見つからない地点において津波堆積物判別を行った.また,本研究では多試料・多元素の大規模なデータを組み合わせて解析を行う必要があるため,主成分分析や判別分析などの統計的手法を用いることで津波堆積物の持つ特徴を抽出し,定量的な判別精度を示した.さらに東日本大震災の泥質津波堆積物のデータを利用することで,これまで判別が困難だった泥質の歴史津波堆積物の痕跡を得ることができた.
