[S06-04]Spatial variation in the origin of S-wave polarization anisotropy in the upper crust of the Tohoku region, NE Japan. (3)
*Ryotaro Fujimura1, Tomomi Okada1, Tatsuya Mizuta1, Martha Savage2, Ryota Takagi1, Keisuke Yoshida1, Shinichi Sakai3, Kei Katsumata4, Mako Ohzono4,3, Masahiro Kosuga5, Takuto Maeda5, Yoshiko Yamanaka6, Hiroshi Katao7, Takeshi Matsushima8, Hiroshi Yakiwara9, Ayaka Tagami1, Shuutoku Kimura1, Satoshi Hirahara1, Toshio Kono1, Toru Matsuzawa1(1. Research Center for Prediction of Earthquakes and Volcanic Eruptions, Graduate School of Science, Tohoku Umoversity Tohoku University, 2. Victoria University of Wellington, 3. ERI, Univercity of Tokyo, 4. Hakkaido University, 5. Hirosaki University, 6. Nagoya University, 7. DPRI, Kyoto University, 8. Kyushu University, 9. Kagoshima University)
S波偏向異方性をもつ媒質中をS波が伝搬する際、振動方向が直行な二つのS波に分裂し, 異なる速度で伝搬する現象(S波スプリッティング)が生じる. この現象における速い波の振動方向は応力場や鉱物の結晶配向方向に従って変化する. 上部地殻では一般にSHmax(最大水平圧縮軸方向)に平行な方向の異方性が観測されるが, 断層や火山の近傍では広域応力場と異なる傾向も確認されている. また応力場の擾乱や断層の亀裂の回復に伴い異方性が時間変化することも知られている. 水田・他(JpGU, 2021)では, 東北地方全域にて広くS波スプリッティングを利用した異方性解析を行った. 特に2011年東北沖地震の前後での異方性の方向と大きさの変化を測定し, 地震活動の活発化と異方性の増大との関係を検証した. この解析には2008年12月から2016年4月の期間の定常・臨時地震観測データを利用し、MFAST(Multiple Filter Automatic Splitting Technique, Savage et al., 2010)を用いてS波スプリッティングのパラメータを測定した. また一部地域では2024年7月までに得られた波形を用いたパラメータ推定も行い, 異方性の時間変化の推定を行った.
本研究では, 水田・他(2021)にて得られたデータのうち, 断層平行の異方性が顕著に見られた岩手県内陸北部, 東北沖地震後に群発地震が発生した山形・福島県境と仙台大倉地域の3地域に注目した. 異方性と局所応力場, 地殻構造との詳細な比較を行うことで, 異方性方向の分布の特徴を再検討し, 異方性の起因推定を行なった. 応力場については, 岡田・他(2022)にて東北地方全域で推定されたメカニズム解から応力テンソルインバージョン(Michael,1987)を用いて推測された最大水平圧縮(SHmax)方向との比較を行った.
岩手県内陸北部では, 水田・他(2021)の他, 2022年以降に異方性の方向の時間変化も見られたため, 最近の地震の発生状況やメカニズム解から推測される応力場との対応も踏まえた異方性の検証も行った. およそ東西方向のSHmaxと南北方向の走向をもつ折爪断層のそれぞれに平行な異方性が見られた. 特に後者は断層を貫くような波線経路を通る地震波から顕著に検出されたことから, 断層平行のフラクチャによって生じる異方性であると考えられる.
山形・福島県境では、Yoshida & Hasegawa (2018a)にて再決定された震源カタログを利用した詳細な異方性媒質の分布を推測した.応力場と整合的な異方性の他に, 大峠カルデラおよびその付近での異方性の不均質性や, 猫魔火山近傍でのSHmax方向と異なる方向の異方性を検出した.
仙台市西部・大倉地域では東北沖地震直後から数年に渡り群発地震が発生しており, Yoshida & Hasegawa (2018b)にて震源再決定が行われ, 震源の面的分布から複数の断層の存在が推測された.再決定震源カタログを用いることで, 震源域近傍の局所的な異方性の分布を推測し, 断層毎に異なる異方性の傾向を得た.
In this study, we examined the spatial variation of shear wave splitting in some seismically active areas of northeastern Japan. We used shear wave splitting parameters, i.e., fast shear wave oscillation direction (FSOD) and delay time between the fast and slow shear waves estimated using MFAST (Savage et al., 2010) by Mizuta et al. (JpGU, 2021) and by this study. We estimated the maximum compressional stress orientation from stress tensor inversion (Michael, 1987) of focal mechanisms by P-wave initial motion (Okada et al., 2022) for comparison. The obtained FSODs showed the complex distribution of stress-induced and structure-controlled anisotropy in each area.
本研究では, 水田・他(2021)にて得られたデータのうち, 断層平行の異方性が顕著に見られた岩手県内陸北部, 東北沖地震後に群発地震が発生した山形・福島県境と仙台大倉地域の3地域に注目した. 異方性と局所応力場, 地殻構造との詳細な比較を行うことで, 異方性方向の分布の特徴を再検討し, 異方性の起因推定を行なった. 応力場については, 岡田・他(2022)にて東北地方全域で推定されたメカニズム解から応力テンソルインバージョン(Michael,1987)を用いて推測された最大水平圧縮(SHmax)方向との比較を行った.
岩手県内陸北部では, 水田・他(2021)の他, 2022年以降に異方性の方向の時間変化も見られたため, 最近の地震の発生状況やメカニズム解から推測される応力場との対応も踏まえた異方性の検証も行った. およそ東西方向のSHmaxと南北方向の走向をもつ折爪断層のそれぞれに平行な異方性が見られた. 特に後者は断層を貫くような波線経路を通る地震波から顕著に検出されたことから, 断層平行のフラクチャによって生じる異方性であると考えられる.
山形・福島県境では、Yoshida & Hasegawa (2018a)にて再決定された震源カタログを利用した詳細な異方性媒質の分布を推測した.応力場と整合的な異方性の他に, 大峠カルデラおよびその付近での異方性の不均質性や, 猫魔火山近傍でのSHmax方向と異なる方向の異方性を検出した.
仙台市西部・大倉地域では東北沖地震直後から数年に渡り群発地震が発生しており, Yoshida & Hasegawa (2018b)にて震源再決定が行われ, 震源の面的分布から複数の断層の存在が推測された.再決定震源カタログを用いることで, 震源域近傍の局所的な異方性の分布を推測し, 断層毎に異なる異方性の傾向を得た.
In this study, we examined the spatial variation of shear wave splitting in some seismically active areas of northeastern Japan. We used shear wave splitting parameters, i.e., fast shear wave oscillation direction (FSOD) and delay time between the fast and slow shear waves estimated using MFAST (Savage et al., 2010) by Mizuta et al. (JpGU, 2021) and by this study. We estimated the maximum compressional stress orientation from stress tensor inversion (Michael, 1987) of focal mechanisms by P-wave initial motion (Okada et al., 2022) for comparison. The obtained FSODs showed the complex distribution of stress-induced and structure-controlled anisotropy in each area.
