[S12-03]In-situ stress at the basement under Osaka plain (8) - In-situ stress measurement at NIED Kyoto observation well by DCDA method -
*Kentaro OMURA1(1. National Research Institute for Earth Science and Disaster Resilience)
絶対的にデータの少ない日本列島の原位置地殻応力,特に地表の地形の影響の少ない深さ500mを越える深部デーをはばひろく取得することを目指し,掘削で採取された既存の岩石コアを用いた測定法による地殻応力測定を続けてきた.当測定では,Funato and Ito (2017, IJRMMS)で設計され,防災科研に整備された装置でコア形状を計測し,コア変形法(DCDA法, Diametrical Core Deformation Analysis法)を適用して応力値を推定した.コア変形法では,地下深部から採取された岩石コアが,応力解放により弾性変形(膨張)することから,その変形量を計測し,岩石の弾性定数と掛け合わせて応力値を推定する.先行研究により,1000mを超えるような深部岩石コアでは,採取後の弾性変形が大きく,コア変形法の適用できることが示されている.
これまで,防災科学技術研究所の大阪平野にある深層地殻活動観測井における一連の原位置地殻応力測定の結果を報告してきた.今回,大阪平野からははずれるが,隣り合う京都盆地にあたる,京都府の防災科研京都観測井(北緯35°00'34.0",東経135°43'49.6",掘削深度706.9m)を対象にした.深度40mまで礫質土からなる扇状地堆積物があり,そこから深度352mまでは第四紀大阪層群上部相当層となる堆積岩(含礫粘土,シルト,礫層狭在シルト)がおおい,その下に中生代丹波層群となる基盤岩(砂岩泥岩互層)が分布している.そこで,深度700.8-.9mで採取された基盤岩石コアを用いた.採取後,15年以上経過したものではあるが,外周にそって直径がおおよそサインカーブ状に変化し,岩石コア断面が応力開放にともない楕円状に弾性変形しているものと解釈した.岩石コアの弾性定数は,直接岩石コアの室内岩石試験による測定データ(ヤング率89.4GPa,ポアソン比0.21)とあわせて,同じ掘削井で実施されたPS検層による地盤のP波速度(4.82km/s),S波速度(2.77km/s)と,孔内密度検層による密度(2.71g/cm3)を用いて計算される弾性定数を適用することを試みることにした.
本測定例では,岩石コアの採取深度が500mを越える深部であったことから,コア変形法により有意な応力値が得られそうで,今後の議論に活用できるものと期待される.しかし,一方で,これまで,同じ方法を適用した他の観測井の岩石コアと同様に,コア採取から時間が経過しており,経年の影響も慎重に検討する必要があるだろう.
これまで,防災科学技術研究所の大阪平野にある深層地殻活動観測井における一連の原位置地殻応力測定の結果を報告してきた.今回,大阪平野からははずれるが,隣り合う京都盆地にあたる,京都府の防災科研京都観測井(北緯35°00'34.0",東経135°43'49.6",掘削深度706.9m)を対象にした.深度40mまで礫質土からなる扇状地堆積物があり,そこから深度352mまでは第四紀大阪層群上部相当層となる堆積岩(含礫粘土,シルト,礫層狭在シルト)がおおい,その下に中生代丹波層群となる基盤岩(砂岩泥岩互層)が分布している.そこで,深度700.8-.9mで採取された基盤岩石コアを用いた.採取後,15年以上経過したものではあるが,外周にそって直径がおおよそサインカーブ状に変化し,岩石コア断面が応力開放にともない楕円状に弾性変形しているものと解釈した.岩石コアの弾性定数は,直接岩石コアの室内岩石試験による測定データ(ヤング率89.4GPa,ポアソン比0.21)とあわせて,同じ掘削井で実施されたPS検層による地盤のP波速度(4.82km/s),S波速度(2.77km/s)と,孔内密度検層による密度(2.71g/cm3)を用いて計算される弾性定数を適用することを試みることにした.
本測定例では,岩石コアの採取深度が500mを越える深部であったことから,コア変形法により有意な応力値が得られそうで,今後の議論に活用できるものと期待される.しかし,一方で,これまで,同じ方法を適用した他の観測井の岩石コアと同様に,コア採取から時間が経過しており,経年の影響も慎重に検討する必要があるだろう.
