[S18-02]The 23rd Earthquake, Volcano and Geology Children's Summer School in Yoshino River “Exploring the Secrets of the Yoshino River with YOKAI”
*Yusuke Inoue1, Toru Ando2, Tadahiro Shibata3, Teito Takemoto4, Ryosuke Doke5, Azusa Tonotani6, Kenichi Nakao7, Kenichi Nishiyama8, Toshitaka Baba8, Tomoya Hiiro9, Shintaro Yamasaki10, Yoshie Yamada11, Hikaru Yokoyama12, Shuichi Hasegawa13(1. OYO, 2. Asutamuland, 3. ACA, 4. JMA, 5. Hirosaki Univ, 6. Miyoshi City Office (Miyoshi Geopark Project), 7. Tokushima Prefectural Museum, 8. Tokushima Univ, 9. Arakawa City Office, 10. Kyoto Univ, 11. TEPCO PG, 12. Hokusho Univ, 13. Kagawa Univ)
1.はじめに
地震火山地質こどもサマースクール(以降、サマスクと称す)は、日本地震学会、日本火山学会、日本地質学会が共同で、小・中・高校生を対象に開催している行事で、地球科学分野ではわが国最大規模の体験学習講座である。サマスクは、1999年度から毎年夏に実施している。このサマスクでは、参加者のこどもたちが第一線の研究者の講師陣と共に開催地周辺の景色の中に隠された地球の活動を探し、大地や風景の成り立ちを考えることを目的としている。2024年8月には第23回サマスクを徳島県三好市池田エリアで開催した。
2.2024年度サマスクの概要
・開催日時:2024 年 8 月 7 日(水)・8 日(木)
・開催地:三好市池田総合体育館、三好市及びその周辺地域
・実行委員長:長谷川修一(香川大学)
・目的:四国を流れる大河「吉野川」を舞台に、吉野川沿いに変わっていく地形や風景を見ながら、その成り立ちや起こった災害、文化などを見ていく。風景の魅力や災害を乗り越えながら人々の生活が築かれたことなどを理解し、防災が自然科学やまちづくりと密接な関わりがあることを探究する。
・参加者:小学生11名、中学11名、高校生6名(計28名)
3.協力スタッフ構成
実行委員会は、各学会の講師と三好ジオパーク構想推進協議会,あすたむらんど徳島,サマスク運営委員から選出されたメンバーで構成した。スタッフはサマスク運営委員に加えて三好市職員農林政策課,地元の皆様,地元の学校教員,学生等で構成した.このような多様なメンバーの相互の協力により、円滑な行事の運営が実現できた.
4.2024年度サマスクの内容
開催地周辺は東西方向に中央構造線が貫いており、この断層運動によって土地が隆起し、讃岐山脈が形成された。これにより、吉野川の流路に変化が生じ、現在の地形が形成したと考えられている。参加者は4つのグループに分かれて、野外観察、実験、議論を通して、吉野川の大地の成り立ちや人々の暮らしのナゾについて考えた。向き合ったナゾは、「①吉野川はどう流れてきた?大地はどうできた?」、「②吉野川で人々はこれまでどう暮らしてきた?上流から下流までの川沿いの暮らしや災害について調べてみよう。」、「③-a 吉野川の百年先、千年先の未来を予想してみよう」、「③-b 吉野川の大地を思いっきり楽しむ3日間とは?」の3つである。以下にこどもたちが2日間で学んだ内容を示す。
1日目は、4か所の野外観察および実験を行った。野外観察では、吉野川の上流部から下流に向かって観察した。まず、大歩危峡へ移動し、遊覧船で地形の変化を観察した。次いで、山城町川口、池田湖水際公園、箸蔵近隣公園の河原にて、それぞれの場所で異なる種類の礫を5つ程度採取した。また、サイトごとの露頭の特徴の変化も観察した。さらに、池田湖水際公園ではドローンを航行させた。採取した礫は、採取場所による礫の特徴の違いや共通点等を整理した。野外観察の後は3つの実験を行った。雨の多い山地でどのような地形ができるかを観察する実験、地震時に地すべりが発生する様子を観察する実験、地下の活断層が動いた際に地表ではどのような変化が見られるかを観察する実験を行った。実験後の講義では、能登半島地震に関する最新の研究成果に触れた。温泉に入った後の夜の部では、ドローンを使った地質・地形調査の技術や深部低周波地震についての講義を受けた。
2日目は、まず、宿泊先のウマバ・スクールコテージ周辺を散策しながら、山の上“ソラ”から見える地形の様子を観察し、集落の石垣を構成している石はどこから来たものなのかなどを考えた。次いで、池田体育館に移動し、周辺の地形を観察した。さらに、吉野川周辺の暮らしや地すべりのメカニズムと対策工、防災に関する講義を受けた。
以上から発見したことをもとに、グループごとに3つのナゾを解き明かし、池田総合体育館サブアリーナでのフォーラムで、市長などの市関係者、保護者、一般向けに発表を行った。発表では、大地のできかたについて、礫の縞模様に着目して考察したグループや災害から守るための地下空間を利用した暮らしを提案したグループなどがあり、様々な視点からナゾについて解き明かされた。また、野外で採取した礫を示し、絵を取り入れて発表するなど、各グループで工夫が見られた。参加者の発表資料の一部を添付する。
サマスク終了後に、参加者向けのアンケートと講師・スタッフでの振り返りを実施した。本発表当日は、アンケートの結果、振り返りで出た意見、サマスクの実施による地元への効果についても報告する。
5.今後の予定
2025年(第24回)は,長野県木曽町御嶽山周辺地域での開催を予定している.また,2026年度以降の開催地は募集中(2024年8月)である.
6.謝辞
本事業は,日本地震学会,日本火山学会,日本地質学会の負担金の他に,ノエビアグリーン財団の助成を受け実施しました。ここに記して感謝いたします。
地震火山地質こどもサマースクール(以降、サマスクと称す)は、日本地震学会、日本火山学会、日本地質学会が共同で、小・中・高校生を対象に開催している行事で、地球科学分野ではわが国最大規模の体験学習講座である。サマスクは、1999年度から毎年夏に実施している。このサマスクでは、参加者のこどもたちが第一線の研究者の講師陣と共に開催地周辺の景色の中に隠された地球の活動を探し、大地や風景の成り立ちを考えることを目的としている。2024年8月には第23回サマスクを徳島県三好市池田エリアで開催した。
2.2024年度サマスクの概要
・開催日時:2024 年 8 月 7 日(水)・8 日(木)
・開催地:三好市池田総合体育館、三好市及びその周辺地域
・実行委員長:長谷川修一(香川大学)
・目的:四国を流れる大河「吉野川」を舞台に、吉野川沿いに変わっていく地形や風景を見ながら、その成り立ちや起こった災害、文化などを見ていく。風景の魅力や災害を乗り越えながら人々の生活が築かれたことなどを理解し、防災が自然科学やまちづくりと密接な関わりがあることを探究する。
・参加者:小学生11名、中学11名、高校生6名(計28名)
3.協力スタッフ構成
実行委員会は、各学会の講師と三好ジオパーク構想推進協議会,あすたむらんど徳島,サマスク運営委員から選出されたメンバーで構成した。スタッフはサマスク運営委員に加えて三好市職員農林政策課,地元の皆様,地元の学校教員,学生等で構成した.このような多様なメンバーの相互の協力により、円滑な行事の運営が実現できた.
4.2024年度サマスクの内容
開催地周辺は東西方向に中央構造線が貫いており、この断層運動によって土地が隆起し、讃岐山脈が形成された。これにより、吉野川の流路に変化が生じ、現在の地形が形成したと考えられている。参加者は4つのグループに分かれて、野外観察、実験、議論を通して、吉野川の大地の成り立ちや人々の暮らしのナゾについて考えた。向き合ったナゾは、「①吉野川はどう流れてきた?大地はどうできた?」、「②吉野川で人々はこれまでどう暮らしてきた?上流から下流までの川沿いの暮らしや災害について調べてみよう。」、「③-a 吉野川の百年先、千年先の未来を予想してみよう」、「③-b 吉野川の大地を思いっきり楽しむ3日間とは?」の3つである。以下にこどもたちが2日間で学んだ内容を示す。
1日目は、4か所の野外観察および実験を行った。野外観察では、吉野川の上流部から下流に向かって観察した。まず、大歩危峡へ移動し、遊覧船で地形の変化を観察した。次いで、山城町川口、池田湖水際公園、箸蔵近隣公園の河原にて、それぞれの場所で異なる種類の礫を5つ程度採取した。また、サイトごとの露頭の特徴の変化も観察した。さらに、池田湖水際公園ではドローンを航行させた。採取した礫は、採取場所による礫の特徴の違いや共通点等を整理した。野外観察の後は3つの実験を行った。雨の多い山地でどのような地形ができるかを観察する実験、地震時に地すべりが発生する様子を観察する実験、地下の活断層が動いた際に地表ではどのような変化が見られるかを観察する実験を行った。実験後の講義では、能登半島地震に関する最新の研究成果に触れた。温泉に入った後の夜の部では、ドローンを使った地質・地形調査の技術や深部低周波地震についての講義を受けた。
2日目は、まず、宿泊先のウマバ・スクールコテージ周辺を散策しながら、山の上“ソラ”から見える地形の様子を観察し、集落の石垣を構成している石はどこから来たものなのかなどを考えた。次いで、池田体育館に移動し、周辺の地形を観察した。さらに、吉野川周辺の暮らしや地すべりのメカニズムと対策工、防災に関する講義を受けた。
以上から発見したことをもとに、グループごとに3つのナゾを解き明かし、池田総合体育館サブアリーナでのフォーラムで、市長などの市関係者、保護者、一般向けに発表を行った。発表では、大地のできかたについて、礫の縞模様に着目して考察したグループや災害から守るための地下空間を利用した暮らしを提案したグループなどがあり、様々な視点からナゾについて解き明かされた。また、野外で採取した礫を示し、絵を取り入れて発表するなど、各グループで工夫が見られた。参加者の発表資料の一部を添付する。
サマスク終了後に、参加者向けのアンケートと講師・スタッフでの振り返りを実施した。本発表当日は、アンケートの結果、振り返りで出た意見、サマスクの実施による地元への効果についても報告する。
5.今後の予定
2025年(第24回)は,長野県木曽町御嶽山周辺地域での開催を予定している.また,2026年度以降の開催地は募集中(2024年8月)である.
6.謝辞
本事業は,日本地震学会,日本火山学会,日本地質学会の負担金の他に,ノエビアグリーン財団の助成を受け実施しました。ここに記して感謝いたします。
