[S18-03]Public Awareness Survey on the Recognition and Response of Earthquake Hazard and Other Natural / Manmade Hazards
*Yoshinari HAYASHI1, HIroaki Takahashi2(1. Faculty of Societal Safety Sciences, Kansai University, 2. Hokkaido Univ.)
地震は自然災害、事故、疾病など多くのリスク要因の1つである。地震学を学び、その研究で博士号を取得して、地震研究を生業にしている我々は、地震について特別な関心をもっているが、これは市民感覚とはかけ離れている可能性がある。また、地震が発生する場所は地球レベルで見れば大きく偏在しており、日本列島に限定しても地震リスクの大小は地域によって異なっている。そこで本研究では、様々なリスク要因の相対的順位を明らかにすることと、その地域差、性差、世代差などに違いがあるかを明らかにするためインターネット調査を実施した。
アンケート調査は2023年11月7日〜13日に実施した。これは2024年能登半島地震の前である。この調査は北海道・三陸沖後発地震注意情報の認知度調査の一部として実施したため、対象は北海道内の6都市圏である。人口の多い札幌市は単独で地域を選定したが、それ以外の5都市は市街地が一体化している周辺の町村も対象地域とした。具体的には旭川市には鷹栖町、東神楽町、当麻町、比布町、東川町を含み、函館市には北斗市、七飯町を含み、苫小牧市には白老町を含み、帯広市には音更町、芽室町、幕別町を含み、釧路市には釧路町、白糠町、鶴居村を含む。調査人数は、6都市圏の男女、5世代(20,30,40,50,60代),ごとに各30人、合計1800人である.なお,旭川市男性20代(14人),函館市男性20代(10人)、苫小牧市男性20代(10人)、同男性30代(23人)、同女性20代(18人)、帯広市男性20代(11人)、釧路市男性20代(8人)、同女性20代(27人)は,ここに示した人数のように30名のサンプルが集まらなかったので,不足分を同性他世代に割り振って各都市男女150人合計300名になるよう調整した.
中心となる質問は地震などのリスク要因について、6段階(非常にそう思う、そう思う、どちらかといえばそう思う、どちらかといえばそう思わない、そう思わない、まったくそう思わない)で主観的な不安感を回答してもらうものである。リスク要因は中谷内・島田(2010)にもとづき選定し、北海道の地域性を考慮して「大雪・暴風雪」「津波」「火山噴火」「竜巻」「ヒグマ」などを追加して、以下の47種類のリスク要因について回答を求めた。
地震、津波、火山噴火、大雪・暴風雪、河川の氾濫・浸水、土砂災害、異常気象、台風、地球温暖化、落雷、竜巻、住宅の火災、ビルの火災、ヒグマ、交通事故、原子力発電所の事故、鉄道事故、飛行機事故、日常生活での転落事故、水難事故(川、海、プール)、家電製品からの出火、年金問題、食品の偽装表示、紫外線、耐震偽装、脳・心臓疾患、生活習慣病、新たな感染症、薬の副作用、医療ミス、ガン、タバコによる健康被害、遺伝子組み換え食品、環境ホルモン、農薬、化学物質による環境汚染、化学合成食品添加物、いじめ、失業、石油の枯渇、ダイオキシン、戦争、テロ、海外からのミサイル攻撃、財産犯(泥棒・空き巣・詐欺)、身体犯(殺人・暴行・誘拐)、特殊詐欺
なお、提示の順番はランダムになるよう設定し、回答者ごとに異なった環境で回答をもとめている。
不安度の定量化は各回答に1から6の値を割り当て、数値が高いほど不安を強く感じていることを示している。図はリスク要因ごとの全回答者の平均値と標準偏差の結果である。リスクを高く評価されている上位5つは「地震」「交通事故」「大雪・暴風雪」「ガン」「年金問題」であった。
先行研究である中谷内・島田(2010)の上位5つは「地震」「地球温暖化」「ガン」「新たな伝染病」「交通事故」であり、元吉(2020)の上位5つは「地震」「年金問題」「ガン」「交通事故」「異常気象」となっている。「地震」は常に1位であり、今回の調査でも同じ結果となった。それ以外の上位に入るリスク要因はほぼ固定化されて同じであるが、北海道の地域性を反映して「大雪・暴風雪」が2位と高かった一方で、異常気象(8位)、地球温暖化(11位)の順位は低かった。
また、近年、北海道中で事故が多発している「ヒグマ」が12位となりリスクが高いと評価された。2006年にオホーツク管内佐呂間町における「竜巻」災害では、9人が死亡31人が重軽傷を負うという大きな被害が出ており、北海道において注目度の高いリスク要因とも考えられたが、41位という低い順位となった。
標準偏差の結果を見ると、「地震「津波」「火山噴火」の3つが突出して大きな値をとっていた。これは地域による違いが大きいことを示している。活火山に隣接している苫小牧市は「火山噴火」のリスクは15位となり、全体では45位だったものより高いリスクと認識されていた。また平常時の地震活動度が低く、地震動予測地図による長期評価でも地震リスクが小さいと評価されている旭川市では、他の5都市では1位となっている「地震」が14位であった。
本調査により、地震は他のあらゆるリスク要因よりも高いものと認識されていることが示され、この結果は2つの先行研究と変わらないことが明らかになった。しかし、旭川市だけを抽出すると、その傾向は違っており、日本国内においても地震リスクを第一と考えない地域があることが示された。
アンケート調査は2023年11月7日〜13日に実施した。これは2024年能登半島地震の前である。この調査は北海道・三陸沖後発地震注意情報の認知度調査の一部として実施したため、対象は北海道内の6都市圏である。人口の多い札幌市は単独で地域を選定したが、それ以外の5都市は市街地が一体化している周辺の町村も対象地域とした。具体的には旭川市には鷹栖町、東神楽町、当麻町、比布町、東川町を含み、函館市には北斗市、七飯町を含み、苫小牧市には白老町を含み、帯広市には音更町、芽室町、幕別町を含み、釧路市には釧路町、白糠町、鶴居村を含む。調査人数は、6都市圏の男女、5世代(20,30,40,50,60代),ごとに各30人、合計1800人である.なお,旭川市男性20代(14人),函館市男性20代(10人)、苫小牧市男性20代(10人)、同男性30代(23人)、同女性20代(18人)、帯広市男性20代(11人)、釧路市男性20代(8人)、同女性20代(27人)は,ここに示した人数のように30名のサンプルが集まらなかったので,不足分を同性他世代に割り振って各都市男女150人合計300名になるよう調整した.
中心となる質問は地震などのリスク要因について、6段階(非常にそう思う、そう思う、どちらかといえばそう思う、どちらかといえばそう思わない、そう思わない、まったくそう思わない)で主観的な不安感を回答してもらうものである。リスク要因は中谷内・島田(2010)にもとづき選定し、北海道の地域性を考慮して「大雪・暴風雪」「津波」「火山噴火」「竜巻」「ヒグマ」などを追加して、以下の47種類のリスク要因について回答を求めた。
地震、津波、火山噴火、大雪・暴風雪、河川の氾濫・浸水、土砂災害、異常気象、台風、地球温暖化、落雷、竜巻、住宅の火災、ビルの火災、ヒグマ、交通事故、原子力発電所の事故、鉄道事故、飛行機事故、日常生活での転落事故、水難事故(川、海、プール)、家電製品からの出火、年金問題、食品の偽装表示、紫外線、耐震偽装、脳・心臓疾患、生活習慣病、新たな感染症、薬の副作用、医療ミス、ガン、タバコによる健康被害、遺伝子組み換え食品、環境ホルモン、農薬、化学物質による環境汚染、化学合成食品添加物、いじめ、失業、石油の枯渇、ダイオキシン、戦争、テロ、海外からのミサイル攻撃、財産犯(泥棒・空き巣・詐欺)、身体犯(殺人・暴行・誘拐)、特殊詐欺
なお、提示の順番はランダムになるよう設定し、回答者ごとに異なった環境で回答をもとめている。
不安度の定量化は各回答に1から6の値を割り当て、数値が高いほど不安を強く感じていることを示している。図はリスク要因ごとの全回答者の平均値と標準偏差の結果である。リスクを高く評価されている上位5つは「地震」「交通事故」「大雪・暴風雪」「ガン」「年金問題」であった。
先行研究である中谷内・島田(2010)の上位5つは「地震」「地球温暖化」「ガン」「新たな伝染病」「交通事故」であり、元吉(2020)の上位5つは「地震」「年金問題」「ガン」「交通事故」「異常気象」となっている。「地震」は常に1位であり、今回の調査でも同じ結果となった。それ以外の上位に入るリスク要因はほぼ固定化されて同じであるが、北海道の地域性を反映して「大雪・暴風雪」が2位と高かった一方で、異常気象(8位)、地球温暖化(11位)の順位は低かった。
また、近年、北海道中で事故が多発している「ヒグマ」が12位となりリスクが高いと評価された。2006年にオホーツク管内佐呂間町における「竜巻」災害では、9人が死亡31人が重軽傷を負うという大きな被害が出ており、北海道において注目度の高いリスク要因とも考えられたが、41位という低い順位となった。
標準偏差の結果を見ると、「地震「津波」「火山噴火」の3つが突出して大きな値をとっていた。これは地域による違いが大きいことを示している。活火山に隣接している苫小牧市は「火山噴火」のリスクは15位となり、全体では45位だったものより高いリスクと認識されていた。また平常時の地震活動度が低く、地震動予測地図による長期評価でも地震リスクが小さいと評価されている旭川市では、他の5都市では1位となっている「地震」が14位であった。
本調査により、地震は他のあらゆるリスク要因よりも高いものと認識されていることが示され、この結果は2つの先行研究と変わらないことが明らかになった。しかし、旭川市だけを抽出すると、その傾向は違っており、日本国内においても地震リスクを第一と考えない地域があることが示された。
