The 2024 SSJ Fall Meeting

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Oct 21 - Oct 23, 2024Toki Messe
The SSJ Fall Meeting
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Oct 21 - Oct 23, 2024Toki Messe

[S18-05]Enhancing Interoperability of Disaster Information Using Knowledge Graphs

*Hiroki UEMATSU1, Hideaki TAKEDA2,1(1. The Graduate University for Advanced Studies, SOKENDAI, 2. National Institute of Informatics)
本研究では,Linked Dataの形式で地震の情報を記述した地震LODを用いて,地震とその地震によって発生した被害情報を接続することで,国内で公開されている災害情報の相互運用性の向上を目指す.
地震動は波形データとして記録され,震源パラメーターの推定,地下構造の推定などさまざまな研究に使われている。またこれらの大量に蓄積された波形データは近年地震学の分野で盛んに用いられる機械学習において,震度予測や,観測波形の分類,P波/S波の検測等の機械学習を用いた研究の教師データとして利用されている.機械学習には大量の良質な教師データが必要であるため,地震観測網で観測されたデータは有用だが,それらの収集には困難が伴う. 例えば,防災科学研究所の波形データの取得サイトにはAPI等は用意されておらず,ユーザが日付時刻や震源,観測点等を指定して手動で波形データをダウンロードする必要がある.また,研究者が独自に観測した波形データや,気象庁や地方自治体の観測網を横断して検索するためには,波形データを集約したデータベースの作成等が考えられる.しかし,波形データの再公開はできず,また波形データを一意に指し示すURIを持たないため,研究者独自のデータベースが乱立することとなり,再利用可能なオープンな波形データベースの作成は難しい.そこで,地震動を観測した観測点の情報や震度,観測時刻,また観測された波形から推定された震源の位置やマグニチュードなど,「地震」のメタデータを収集し,Linked Dataの形式で公開した(https://seismic.balog.jp/).Linked Dataは事物や概念が一意のURIを持ち,リンク構造を持つことでデータ同士をつなぐことができる.Linked Dataでは,事物や概念のリンク構造をトリプルと呼ばれるモデルで表現し,Webサイトのリンクを辿ることと同様に,プロパティ(リンク)を辿ることで,データを辿ることができる.ここで,Webサイトのリンクは,単なるつながりを示しているが,Linked DataのトリプルではリンクとなるプロパティもURIを持ちリンクの関係性を示している.本研究では,地震データに特化したプロパティとして,震源や震度,観測時刻など地震動に関する語彙や観測点に関する語彙を新たに定義する.例えば,「地震動」は,「震度」「マグニチュード」「発生時刻」等の語彙をプロパティとして持つ.また,「観測した波形」という語彙をプロパティとすることで,ある地震動を観測した波形のトリプルが作成され,「地震」そのものを観測することは難しいが,観測された地震動のリンク構造から「地震」を表現することが可能となる.
一方,地震を含めた災害や被害情報は,気象庁や消防庁,防災科学研究所といった機関が公開している.例えば,消防庁の災害情報には,地震によって発生した被害の情報や消防機関等の対応状況,避難指示や対策本部の設置情報などがPDF形式の文書として公開されている.災害情報や対応状況は,各機関からそれぞれの形式で公開されているため,発生源となった災害をキーに横断的に知ることは難しい.
本研究では,地震LODを基盤として、さまざまな機関が公開している災害情報や被害情報、対応状況を横断的に取得し、これらのデータを再利用することで、災害情報の相互運用性を高めることことを目指す.