[1-1-SY1-4]THA術後のスポーツ活動の現状と課題
○高尾 正樹1, 阿部 裕仁2,3, 坂井 孝司1,4, 濱田 英敏1, 安藤 渉2, 菅野 伸彦2(1.大阪大学大学院 医学系研究科 器官制御外科学 整形外科学, 2.大阪大学大学院医学系研究科 運動器医工学治療学, 3.独立行政法人地域医療機能推進機構 星ヶ丘医療センター整形外科, 4.山口大学大学院医学系研究科整形外科学)
人工股関節全置換術(THA)後のスポーツ活動への参加意欲は、健康意識の向上とともに若年者だけでなく中高年においても高まっている。我々の施設で2005年から2011年にCT-based navigationを用いて施行したTHA術後患者608例を対象に行ったアンケート調査では、9割の患者が何らかのスポーツ活動を行っていた。スポーツ活動は身体面、精神面で良い影響を与え、推奨すべきものであると考えられるが、どのような種目をTHA後に推奨するかは意見が分かれている。ウォーキング、ゴルフ、水泳のようなlow impact sportsに関しては多くの医師が推奨し異論はないと思われるが、ジョギングやシングルテニスを含むhigh impact sportsについては意見が分かれる。その中でもジョギングは、個人で気軽にできるスポーツであり、患者の関心も高い。ジョギング中の股関節には体重の5.5倍の衝撃がかかると報告されており、摺動部摩耗やインプラントの生存率に影響することが懸念される。我々の施設で行ったTHA術後患者608例のアンケート調査では23例3.8%が術後ジョギングを行っていた。内訳は表面置換型THAが10例、高度架橋ポリエチレンを用いたTHAが12例、メタルオンメタルTHAが1例であったが、平均10年の経過観察でゆるみや高度の摩耗、再置換を要した症例はなかった。近年の人工股関節の確実な固定法の確立と強度や耐摩耗性、安定性の向上により、ジョギングに伴う衝撃に対するインプラントの耐用度が向上していることを示唆する結果であった。一方、われわれは全例CT-based navigationを用いインプラントのマルアライメントを回避しており、スポーツ活動と人工関節の長期耐用を両立する上で重要な要素であったと考えている。正確なインプラント設置によるエッジローディングやインプラントインピンジメントの回避が、THA後スポーツ活動を推奨する上でより重要である。