[SY1-1]様々な死の軌跡を辿るクリティカルケア領域の患者へのACPを実践するために
○細萱 順一1(1. かわぐち心臓呼吸器病院 看護部)
キーワード:
人生会議、話し合いのプロセス、他領域連携
アドバンス・ケア・プランニング(Advance Care Planning:ACP)は、「将来(近い将来も含む)の治療やケアについての患者の意思決定をサポートするために、治療やケアに関わる人たちが患者の価値観、人生のゴール、好みなどを理解して共有するプロセスであり、どの様な年齢や病態の患者もその対象になり得る」と定義されている。
昨年、厚生労働省はACPの愛称を「人生会議」と決定し、11月30日(いい看取り・看取られ)を「人生会議の日」としました。また、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」により、ACPの重要な概念である“人生の最終段階の医療・ケアについて、本人が家族等や医療・ケアチームと事前に繰り返し話し合うプロセス”を行うことが推奨されている。
ここで、私たちのクリティカルケア領域で壁になるのが、“事前に”という点である。この時間軸の猶予がない当領域の特性から、十分に話し合いが行われない中で、ACPが流行り言葉のように使われ、「ACPをとる」のように終末期指示書のような認識がなされていると感じる場面がある。確かに、交通事故や急性疾患のような状況で救命が困難な場合は、終末期指示書は患者本人の意思を反映するためにも非常に重要なものになるが、指示書の内容を表明するのは多くが家族または重要他者であり、家族らが大事な人の人生=ライフを想いながら意思決定できるように支援するプロセスがACPになりうると考える。そのように意識しながら実践したケースを共有させていただきたい。
また、慢性心不全・腎不全のような慢性疾患の急性増悪による終末期の場合は、軽快と増悪を繰り返すプロセスの中でのACPの重要性は広く認識されている。さらに、最近では、長期的に抗がん剤を使用するがんサバイバーが増えている中で、用量依存性に発症する急性心不全で最期を迎えるケースが増加しており、今後クリティカルケア領域で遭遇する機会が多くなることが予測される。がんにより予測されていた疾患的予後よりも早い段階で最期を迎える状況になる場合は、がんと診断されてから構築されてきた本人の価値観やライフ、または家族との関係にも焦点をあてていく必要がある。そのような場合には、クリティカルケア領域の医療者のみでは十分なACPを展開していくことは困難であり、それまで関わってきた他領域の医療者との連携が必要になってくる。地域によっては、在宅と基幹病院が医療用SNSを活用して、在宅でやりとりされる人生の最終段階に関する重要な情報を地域全体で共有する仕組みも行われている。
クリティカルケア領域のACPの質を向上させるためには、領域内の意思決定に関与するための「能力向上」と、領域外に率先して出向き、最期を迎える対象が関わってきた医療者らと関係性を構築するための「他領域連携の強化」が重要だと考えます。そのような実践をされている方や試みているご施設がありましたら情報共有いただき、この機会に一緒に考えていければと思います。
昨年、厚生労働省はACPの愛称を「人生会議」と決定し、11月30日(いい看取り・看取られ)を「人生会議の日」としました。また、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」により、ACPの重要な概念である“人生の最終段階の医療・ケアについて、本人が家族等や医療・ケアチームと事前に繰り返し話し合うプロセス”を行うことが推奨されている。
ここで、私たちのクリティカルケア領域で壁になるのが、“事前に”という点である。この時間軸の猶予がない当領域の特性から、十分に話し合いが行われない中で、ACPが流行り言葉のように使われ、「ACPをとる」のように終末期指示書のような認識がなされていると感じる場面がある。確かに、交通事故や急性疾患のような状況で救命が困難な場合は、終末期指示書は患者本人の意思を反映するためにも非常に重要なものになるが、指示書の内容を表明するのは多くが家族または重要他者であり、家族らが大事な人の人生=ライフを想いながら意思決定できるように支援するプロセスがACPになりうると考える。そのように意識しながら実践したケースを共有させていただきたい。
また、慢性心不全・腎不全のような慢性疾患の急性増悪による終末期の場合は、軽快と増悪を繰り返すプロセスの中でのACPの重要性は広く認識されている。さらに、最近では、長期的に抗がん剤を使用するがんサバイバーが増えている中で、用量依存性に発症する急性心不全で最期を迎えるケースが増加しており、今後クリティカルケア領域で遭遇する機会が多くなることが予測される。がんにより予測されていた疾患的予後よりも早い段階で最期を迎える状況になる場合は、がんと診断されてから構築されてきた本人の価値観やライフ、または家族との関係にも焦点をあてていく必要がある。そのような場合には、クリティカルケア領域の医療者のみでは十分なACPを展開していくことは困難であり、それまで関わってきた他領域の医療者との連携が必要になってくる。地域によっては、在宅と基幹病院が医療用SNSを活用して、在宅でやりとりされる人生の最終段階に関する重要な情報を地域全体で共有する仕組みも行われている。
クリティカルケア領域のACPの質を向上させるためには、領域内の意思決定に関与するための「能力向上」と、領域外に率先して出向き、最期を迎える対象が関わってきた医療者らと関係性を構築するための「他領域連携の強化」が重要だと考えます。そのような実践をされている方や試みているご施設がありましたら情報共有いただき、この機会に一緒に考えていければと思います。
