[W1-06]COVID-19流行時における重症患者家族の面会への取り組み
−危機回避のための精神的ケアの重要性−
○平尾 由美子1、須崎 大1、川口 祥子1(1. 済生会横浜市東部病院)
キーワード:
COVID-19、重症患者・家族ケア、面会方法
【目的】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行に伴い、政府は2020年3月「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」を提示した。当院では面会を原則禁止とし、その対象はCOVID-19ではない重症患者も同様であった。Emergency Intensive Care Unit(EICU)の入室患者家族の精神的ケアとしてオンライン面会を実施した。しかし、患者が意思疎通を取れない場合は、オンライン面会のみでは精神的危機を回避するためのケアに限界を感じ、感染対策を実施しながら直接面会を行った。今回、感染対策室と連携し面会制限の中でも、重症患者家族の精神的ケアのための面会方法について検討したので報告する。
【方法】2020年3月~2021年11月までにEICUに入室した症例で、直接面会とオンライン面会について診療記録から関連する場面を抽出し、COVID-19流行期の面会制限の中での面会実施方法について検討をする。本研究は所属病院倫理委員会の承認を得たうえで実施した。
【結果・考察】症例1)COVID-19重症患者の面会方法 A氏、60歳代男性。COVID-19重症肺炎にて人工呼吸器管理し入院。同居家族は全員陽性であった。一度肺炎像が改善し抜管したが、再度呼吸状態悪化し人工呼吸器管理となった。家族へは入院後に電話での病状説明のみ行われていた。亡くなる前日、家族は行政から指示された自宅療養期間は残り2日であった。その中で、病態が悪化している患者をケアする医師と看護師から直接面会させる方法はないかと意見が強く聞かれた。行政に相談をし、面会は感染対策室の判断にゆだねられ、直接面会を実施した。当院までの移動手段、院内での移動動線、個人防護具の着脱介助、面会時は家族の健康観察、病室以外の休息の場所を確保した。亡くなる前日と当日に直接面会を実施し、家族からは「聞くのと会うのでは全然イメージが違いました」「亡くなるのは悲しいですが、最後に家族で過ごせたことは忘れません」と発言が聞かれた。A氏の退院後、看護師だけではなく医師・コメディカルからも、意思疎通が取れた時期に面会することや、感染対策し直接面会を可能とする検討が必要ではないかと意見が聞かれた。その後、感染対策室と連携してオンライン面会の導入と共に、オンライン面会と直接面会への併用について模索を開始した。 症例2)COVID-19以外の重症患者の面会方法 B氏 20歳代男性。ロードバイク走行時に転倒し、頚髄損傷にて入院。明らかな頭部外傷はなかったが、入院時は意識障害を認めた。両親、特に母親の動揺が激しく感情の表出も乏しく、家族の希望もあり現状の受け入れのため、一時的に入院日より毎日直接面会を実施した。直接面会時には担当看護師や公認心理士が密に関わり、徐々に感情の表出を認めた。B氏の病状の安定、回復を実感できるようになる頃から、週1回の直接面会とその間にオンライン面会を挟む方法へ移行した。その後、移床する一般床ではオンライン面会のみなため、それに慣れるように徐々にオンライン面会のみにしていった。B氏との関りから、看取りだけではなく精神的危機を回避のために、特に入院初期の状況把握へのニーズが高い時期に、家族の希望がある場合には直接面会が必要であるとチームで判断した。これらの症例をきっかけに、救命センター・感染対策室・看護部の承諾を得て作成したEICUの面会ルールを作成した。
【結論】① COVID-19流行期も家族にスタッフと同様な感染対策を実施してもらえば、直接面会が行える可能性がある。② 重症患者家族は看取りだけではなく、状況把握へのニーズが高い入院初期に家族の希望がある場合、感染対策をして直接面会をしてもらうことは、精神的ケアには重要な可能性がある。
【方法】2020年3月~2021年11月までにEICUに入室した症例で、直接面会とオンライン面会について診療記録から関連する場面を抽出し、COVID-19流行期の面会制限の中での面会実施方法について検討をする。本研究は所属病院倫理委員会の承認を得たうえで実施した。
【結果・考察】症例1)COVID-19重症患者の面会方法 A氏、60歳代男性。COVID-19重症肺炎にて人工呼吸器管理し入院。同居家族は全員陽性であった。一度肺炎像が改善し抜管したが、再度呼吸状態悪化し人工呼吸器管理となった。家族へは入院後に電話での病状説明のみ行われていた。亡くなる前日、家族は行政から指示された自宅療養期間は残り2日であった。その中で、病態が悪化している患者をケアする医師と看護師から直接面会させる方法はないかと意見が強く聞かれた。行政に相談をし、面会は感染対策室の判断にゆだねられ、直接面会を実施した。当院までの移動手段、院内での移動動線、個人防護具の着脱介助、面会時は家族の健康観察、病室以外の休息の場所を確保した。亡くなる前日と当日に直接面会を実施し、家族からは「聞くのと会うのでは全然イメージが違いました」「亡くなるのは悲しいですが、最後に家族で過ごせたことは忘れません」と発言が聞かれた。A氏の退院後、看護師だけではなく医師・コメディカルからも、意思疎通が取れた時期に面会することや、感染対策し直接面会を可能とする検討が必要ではないかと意見が聞かれた。その後、感染対策室と連携してオンライン面会の導入と共に、オンライン面会と直接面会への併用について模索を開始した。 症例2)COVID-19以外の重症患者の面会方法 B氏 20歳代男性。ロードバイク走行時に転倒し、頚髄損傷にて入院。明らかな頭部外傷はなかったが、入院時は意識障害を認めた。両親、特に母親の動揺が激しく感情の表出も乏しく、家族の希望もあり現状の受け入れのため、一時的に入院日より毎日直接面会を実施した。直接面会時には担当看護師や公認心理士が密に関わり、徐々に感情の表出を認めた。B氏の病状の安定、回復を実感できるようになる頃から、週1回の直接面会とその間にオンライン面会を挟む方法へ移行した。その後、移床する一般床ではオンライン面会のみなため、それに慣れるように徐々にオンライン面会のみにしていった。B氏との関りから、看取りだけではなく精神的危機を回避のために、特に入院初期の状況把握へのニーズが高い時期に、家族の希望がある場合には直接面会が必要であるとチームで判断した。これらの症例をきっかけに、救命センター・感染対策室・看護部の承諾を得て作成したEICUの面会ルールを作成した。
【結論】① COVID-19流行期も家族にスタッフと同様な感染対策を実施してもらえば、直接面会が行える可能性がある。② 重症患者家族は看取りだけではなく、状況把握へのニーズが高い入院初期に家族の希望がある場合、感染対策をして直接面会をしてもらうことは、精神的ケアには重要な可能性がある。
