[W1-07]重症ARDS患者に対し少人数で腹臥位への体位変換を行う際の事故予防策の実態
○赤木 夏海1(1. 東京都立広尾病院 看護部)
キーワード:
腹臥位療法、少人数、事故予防
【目的】重症ARDS患者に対し少人数で腹臥位への体位変換を行う際に、看護師が事故予防策として実施している内容を明らかにする。
【方法】研究デザイン:実態調査型研究。研究期間:2021年8月~10月。研究対象者:研究期間内にA病院救命救急センターに所属し研究参加に同意した看護師27名。調査方法:無記名自記式質問紙調査、観察調査。分析方法:回答及び観察調査項目の基本統計量を算出し、腹臥位療法実施前後に測定したバイタルサイン(以下:VS)結果を分析した。p値0.05未満を有意水準とした。倫理的配慮:本研究はA病院倫理委員会の承認を得た。用語の定義:少人数とは、「2人または3人」とする。
【結果】質問紙調査:調査票は27件配布し、回収率88.8%であった。体位変換を少人数で行うか判断する際に注意している点として、「患者に挿入されている物の数・位置」と答えた者が10名と最も多く、次いで「患者の不穏の有無」「患者のVS」で、「患者の体重」と回答した数は最も少なかった。 観察調査:観察対象は50件で、調査中の事故発生は無かった。全件に挿管チューブ、末梢静脈ライン、動脈ライン、尿管、胃管が挿入されていた。体位変換の実施人数は3人の場合が37件(74%)と最も多く、50件の体重は116.0~55.0kgであり、4人で体位変換を実施した症例は体重が116kgの患者、ブラッドアクセスを挿入している患者の3件であった。体位変換前の処置は「話し合い」「末梢静脈ラインのロック」が100%、「吸引」「テープ貼付部位の観察」「保湿」は90%以上実施されていたが、「鎮静剤のフラッシュの有無」については48%であった。フラッシュをした理由として、「直前に不穏動作を認めた」「これまでに体位変換や吸引等で刺激を与えた場合不穏動作を認めた」があがった。体位変換中の手技は「挿管チューブ・動脈ラインが下敷きにならない体位変換の向き」「挿管チューブの保持」の実施率が90%以上であった。VS結果を前後比較し、脈拍数は実施前の平均スコアが77.96、実施後80.18、p=0.002と有意差を認めた。観血的動脈圧、呼吸数には有意差を認めなかった。
【考察】体位変換前に看護師が注意していた点として、「患者の挿入物の数・位置」が最も多かった。理由としては、重要ライン類が多い場合それらを保持しながら少人数で体位変換を行うことは困難だからである。実際に人工透析中の症例に対しては4人で体位変換が実施されていたことから、患者の挿入物の数・位置は把握しておくことが重要である。体位変換前の「話し合い」は、挿入物への対応、回転の向き、それぞれの役割等、スムーズに体位変換を進めるために、事前準備として必要である。不穏動作のある患者に少人数で体位変換を実施する場合は、より慎重に鎮静管理を行う必要があり、事前準備として鎮静コントロールの話し合いも必要と考える。50件全ての症例で事故発生がなかったことから、体位変換時に行った全ての処置は、事故予防策として妥当性が高いと考える。VSの前後比較は脈拍数のみ有意差を認めたが、脈拍数の増加は一回拍出量の減少に伴う交感神経活動の緊張によるものとされており、安全な範囲内での変化であったと考える。
【結論】少人数で腹臥位への体位変換行う際には、「挿入物の数・位置」を把握し、実施前の話し合い、末梢静脈ラインのロック、吸引、実施前後のテープ貼付部位の観察等が事故予防策として実施されていた。
【方法】研究デザイン:実態調査型研究。研究期間:2021年8月~10月。研究対象者:研究期間内にA病院救命救急センターに所属し研究参加に同意した看護師27名。調査方法:無記名自記式質問紙調査、観察調査。分析方法:回答及び観察調査項目の基本統計量を算出し、腹臥位療法実施前後に測定したバイタルサイン(以下:VS)結果を分析した。p値0.05未満を有意水準とした。倫理的配慮:本研究はA病院倫理委員会の承認を得た。用語の定義:少人数とは、「2人または3人」とする。
【結果】質問紙調査:調査票は27件配布し、回収率88.8%であった。体位変換を少人数で行うか判断する際に注意している点として、「患者に挿入されている物の数・位置」と答えた者が10名と最も多く、次いで「患者の不穏の有無」「患者のVS」で、「患者の体重」と回答した数は最も少なかった。 観察調査:観察対象は50件で、調査中の事故発生は無かった。全件に挿管チューブ、末梢静脈ライン、動脈ライン、尿管、胃管が挿入されていた。体位変換の実施人数は3人の場合が37件(74%)と最も多く、50件の体重は116.0~55.0kgであり、4人で体位変換を実施した症例は体重が116kgの患者、ブラッドアクセスを挿入している患者の3件であった。体位変換前の処置は「話し合い」「末梢静脈ラインのロック」が100%、「吸引」「テープ貼付部位の観察」「保湿」は90%以上実施されていたが、「鎮静剤のフラッシュの有無」については48%であった。フラッシュをした理由として、「直前に不穏動作を認めた」「これまでに体位変換や吸引等で刺激を与えた場合不穏動作を認めた」があがった。体位変換中の手技は「挿管チューブ・動脈ラインが下敷きにならない体位変換の向き」「挿管チューブの保持」の実施率が90%以上であった。VS結果を前後比較し、脈拍数は実施前の平均スコアが77.96、実施後80.18、p=0.002と有意差を認めた。観血的動脈圧、呼吸数には有意差を認めなかった。
【考察】体位変換前に看護師が注意していた点として、「患者の挿入物の数・位置」が最も多かった。理由としては、重要ライン類が多い場合それらを保持しながら少人数で体位変換を行うことは困難だからである。実際に人工透析中の症例に対しては4人で体位変換が実施されていたことから、患者の挿入物の数・位置は把握しておくことが重要である。体位変換前の「話し合い」は、挿入物への対応、回転の向き、それぞれの役割等、スムーズに体位変換を進めるために、事前準備として必要である。不穏動作のある患者に少人数で体位変換を実施する場合は、より慎重に鎮静管理を行う必要があり、事前準備として鎮静コントロールの話し合いも必要と考える。50件全ての症例で事故発生がなかったことから、体位変換時に行った全ての処置は、事故予防策として妥当性が高いと考える。VSの前後比較は脈拍数のみ有意差を認めたが、脈拍数の増加は一回拍出量の減少に伴う交感神経活動の緊張によるものとされており、安全な範囲内での変化であったと考える。
【結論】少人数で腹臥位への体位変換行う際には、「挿入物の数・位置」を把握し、実施前の話し合い、末梢静脈ラインのロック、吸引、実施前後のテープ貼付部位の観察等が事故予防策として実施されていた。
