[W1-17]救急初療看護師のキャリアディプロップメント
−高齢患者への看護実践に焦点をあてて−
○山崎 千草1(1. 東京女子医科大学病院)
キーワード:
救急初療、キャリアディプロップメント、高齢患者
【はじめに】救命救急の使命は、厳しい状況にあっても救命のために可能な限り努力することである。昨今の高齢化により救急初療の場では、救命の見込みがなく、延命治療の不開始や中止等、救命すべきかを迷う患者に遭遇することが多くなってきた。しかし、こうした死に直面する患者のケアを担う救急初療の看護師に焦点を当てた研究は未だ見当たらない。終末期の判断や対応を余儀なくされる救急初療に焦点を当てることは、看護の本質を明らかにする可能性がある。そこで本研究では、救急初療で実務経験を積んできた専門看護師を対象にどのような事態で判断に迷い、どのように解決してきたのかを整理し、救急初療看護師の目指す看護の方向性、救急初療看護師としてのキャリアディプロップメントついて検討することにした。
【目的】①高齢患者の救急看護の質を明らかにする。②救急看護師の目標となる看護水準を明らかにする。
【方法】研究デザイン:質的記述的分析、対象:救急初療で実務経験のある急性・重症患者看護専門看護師30名、データ収集期間:2018年7月~2019年2月、データ収集方法:インタビューガイドを用いた半構造化面接、倫理的配慮:所属大学倫理委員会の承認を得て実施した。対象者には、研究協力の諾否によって不利益を被らないことを説明し同意を得た。
【結果】対象者の概要は、男性7名女性23名、平均年齢は43.2歳であった。救急初療看護師には1)時間的切迫感なし2)時間的切迫感あり3)時間的切迫感を超越という3段階があった。1)時間的切迫感なしの看護師のケアの基本カテゴリーは、①ルーチン化した救命措置②積極的治療の可能性の判断③治療の消極化④医療者の判断による治療であった。2)時間的切迫感ありの看護師のケアの基本カテゴリーは、1)の4つに加えて⑤諦めない救命治療 ⑥組織人としての葛藤というカテゴリーが加わった。3)時間的切迫感を超越した看護師のケアは、個を重視した救命治療のカテゴリーに統合された。時間的切迫感を超越した看護師には①チームとしての万能感を得る体験②接死体験という共通体験があった。
【考察】本研究結果から、救急初療看護師の中に時間的切迫感を超越した段階に到達した者がいることが明らかとなった。この段階にある看護師は、目の前にいる患者の人生が終わるかもしれないという状況で、時間の切迫感を乗り越え、患者の人生を尊重した看護を行っていると言える。個を重視した救命治療の実践こそが、救急初療看護師の目指すべき看護実践と言えるのではないか。個を重視した救命治療の実践に至るには、経験年数やスキル習得に加え、本研究で示された時間的切迫感を超越した看護師の共通体験が必要条件になると考えられる。その1つであるチームとしての万能感を得る体験は、重症患者に対して、医師を含めたメディカルスタッフのチーム連携で救命できた体験に近似すると思われる。二つ目の共通体験である接死体験には、少なくとも①自分自身が死を覚悟する体験②身近な人の死の体験③看護師としての成長のきっかけとなった患者の死の体験が含まれる。前者の共通体験は、体験できるような教育プログラムを作成することが可能であろう。一方、接死体験は偶発性を伴うため、教育プログラムとして含めることは困難である。しかし、共通体験ができるような状況作り、その体験後に振り返りを促しアプローチすることが可能だと考える。
【結論】救急初療看護師のキャリアディプロップメントは1)時間的切迫感なし2)時間的切迫感あり3)時間的切迫感を超越の3段階であった。時間的切迫感を超越するためには、共通体験が必要であることが示唆された。
【目的】①高齢患者の救急看護の質を明らかにする。②救急看護師の目標となる看護水準を明らかにする。
【方法】研究デザイン:質的記述的分析、対象:救急初療で実務経験のある急性・重症患者看護専門看護師30名、データ収集期間:2018年7月~2019年2月、データ収集方法:インタビューガイドを用いた半構造化面接、倫理的配慮:所属大学倫理委員会の承認を得て実施した。対象者には、研究協力の諾否によって不利益を被らないことを説明し同意を得た。
【結果】対象者の概要は、男性7名女性23名、平均年齢は43.2歳であった。救急初療看護師には1)時間的切迫感なし2)時間的切迫感あり3)時間的切迫感を超越という3段階があった。1)時間的切迫感なしの看護師のケアの基本カテゴリーは、①ルーチン化した救命措置②積極的治療の可能性の判断③治療の消極化④医療者の判断による治療であった。2)時間的切迫感ありの看護師のケアの基本カテゴリーは、1)の4つに加えて⑤諦めない救命治療 ⑥組織人としての葛藤というカテゴリーが加わった。3)時間的切迫感を超越した看護師のケアは、個を重視した救命治療のカテゴリーに統合された。時間的切迫感を超越した看護師には①チームとしての万能感を得る体験②接死体験という共通体験があった。
【考察】本研究結果から、救急初療看護師の中に時間的切迫感を超越した段階に到達した者がいることが明らかとなった。この段階にある看護師は、目の前にいる患者の人生が終わるかもしれないという状況で、時間の切迫感を乗り越え、患者の人生を尊重した看護を行っていると言える。個を重視した救命治療の実践こそが、救急初療看護師の目指すべき看護実践と言えるのではないか。個を重視した救命治療の実践に至るには、経験年数やスキル習得に加え、本研究で示された時間的切迫感を超越した看護師の共通体験が必要条件になると考えられる。その1つであるチームとしての万能感を得る体験は、重症患者に対して、医師を含めたメディカルスタッフのチーム連携で救命できた体験に近似すると思われる。二つ目の共通体験である接死体験には、少なくとも①自分自身が死を覚悟する体験②身近な人の死の体験③看護師としての成長のきっかけとなった患者の死の体験が含まれる。前者の共通体験は、体験できるような教育プログラムを作成することが可能であろう。一方、接死体験は偶発性を伴うため、教育プログラムとして含めることは困難である。しかし、共通体験ができるような状況作り、その体験後に振り返りを促しアプローチすることが可能だと考える。
【結論】救急初療看護師のキャリアディプロップメントは1)時間的切迫感なし2)時間的切迫感あり3)時間的切迫感を超越の3段階であった。時間的切迫感を超越するためには、共通体験が必要であることが示唆された。
