[R2-07]珪灰鉄鉱ilvaiteの構造解析:Fe2+,Fe3+およびMn2+の分布「発表賞エントリー」
*井上 裕太郎1、川又 透2、三河内 岳3、杉山 和正2(1. 東北大・院工、2. 東北大・金研、3. 東京大学・総合研究博物館)
キーワード:
イルバイト、単結晶X線回折、X線異常散乱法
珪灰鉄鉱ilvaite (CaFe2+2Fe3+ Si2O7O(OH))には3種類の鉄イオン八面体席(Fe11, Fe12,Fe2)が存在し, 八面体席間のFe2+およびFe3+の分布あるいは共存するMn量によって結晶系が直方晶系から単斜晶系に変化すると考えられている. 本研究ではMn含有量の異なる6種類の珪灰鉄鉱ilvaite (CaFe2+2Fe3+ Si2O7O(OH))に対してMo線源を用いた単結晶構造解析を実施した. すべてのilvaite試料は空間群P21/a に属しておりMn含有量とβ角に関する負の相関関係, Fe11およびFe12席のオーダリングパラメータσ とβ角に関する正の相関関係が存在することが確認された.Mn含有量の多いBulgaria Smolyan産を対象にX線異常散乱測定を実施し,Mn, Fe2+およびFe3+の分布を決定した.MnはFe2席に選択的に配置し,Fe11およびFe12席には分布しないことが判明した.また,Fe2+はFe11およびFe12サイトにほぼ均等に分布し,低σ値から予想される無秩序分布の傾向に一致することを直接検証することができた.
