[R6-09]北西インドNidarオフィオライト層火成岩類の岩石学的・地球化学的研究「発表賞エントリー」
*佐藤 成修1、今山 武志1、Dripta Dutta2、金田 泰明3、渡部 将太3、長谷川 健3、南 雅代4、若杉 勇輝4、若木 重行5(1. 岡山理大、2. インド工科大学ボンベイ校、3. 茨城大、4. 名古屋大、5. JAMSTEC・高知コア研)
キーワード:
Nidarオフィオライト、沈み込みの開始時、岩石学、地球化学
北西インドLadakh地域のNidarオフィオライトは、インド―アジア大陸衝突の地質学的境界であるインダス―ツァンポ縫合帯内部の西側に分布し、大陸衝突前に形成された白亜紀前期の海洋地殻の断片である。本オフィオライトは、沈み込み初期の島弧の前弧域で形成されたとされる(Ahmad et al., 2008)。このようなテクトニクス場では、沈み込み開始時に上盤側のプレートで海底拡大が起こり、島弧的マグマだけでなく海嶺的マグマが生成される(van Hinsbergen et al., 2015)。しかし、これらの異なる組成を示す複数のマグマがどのように同一場で生じるのか、あるいは本当に同時期に生成したマグマなのかは、明らかではない。本研究では、微量元素、Nd-Sr同位体の分析結果から、先行研究(Ahmad et al., 2008)で報告されていないデータが得られた。このことから、Ladakh地域の他オフィオライトの岩石学的・年代学的データも考慮すると、沈み込み開始時に海底拡大に伴う海嶺的マグマが生成し、沈み込み帯の発達に伴い島弧ソレアイト質から島弧カルクアルカリ質マグマへ変化した可能性があることを示唆している。
