国際開発学会第35回全国大会・人間の安全保障学会第14回年次大会

国際開発学会第35回全国大会・人間の安全保障学会第14回年次大会

2024年11月9日〜11月10日JICA緒方貞子平和開発研究所、法政大学市ヶ谷校地(東京)
国際開発学会第35回全国大会・人間の安全保障学会第14回年次大会

国際開発学会第35回全国大会・人間の安全保障学会第14回年次大会

2024年11月9日〜11月10日JICA緒方貞子平和開発研究所、法政大学市ヶ谷校地(東京)

[2A206]技術協力プロジェクトにおける中間層の能力強化による組織開発とゲンバ (GEMBA) の改善
~パキスタン国パンジャブ州上下水道管理能力強化プロジェクト(フェーズ1、2)を事例とした考察~

*佐藤 伸幸1、河田 卓2、林 俊行3(1. 日本テクノ株式会社、2. 株式会社ナレッジノード、3. ニイカ・エナジー・コンサルタント)

キーワード:

知識創造プロセス、組織開発、能力強化、GEMBA、アンドラゴジー(大人の学習論)

1. 研究の背景およびリサーチクエスチョン
事例とする本事業は、JICA業務実施契約により開始された。実際に現地で業務を始めると対象となったパキスタンの上下水道公社における業務が、i) 幹部はほとんど現場を訪問しない、ii) 幹部は現場のデータを分析することもせずに方針を決定する、iii) 幹部は最も現場の情報を持っている現場監理職員と本質的な問題解決のための議論をほとんど行わない、状況下で実施されていることが分かってきた。このような状況は他の途上国でもかなり頻繁に観察されることであるが、本プロジェクトの効果と持続性を確保するためには、このような幹部の現状にどう対応して彼らの考え方を変えてゆくことができるのか、が重要となる。そこで、本プロジェクトでは組織中間層への支援が重要であると考え、これまで前例のなかった中間層人材の本邦研修への参加も含めた中間層への能力強化を実施し、中間層は組織上層部と現場それぞれに働きかけることで、上層部の現場に対する認識も変わっていった。
本論では、幹部の現状を含めたパキスタン側の実際を専門家がどのように把握し、そのような実際に対応した協力をどのように展開していったのか、また、協力現場でのミクロ的視点に立ったパキスタン側と技術協力専門家とのキーになるやり取りに焦点を当てて現場を記述することにより、その記述から見えてくる効果的で持続的な技術協力を可能にする要件をナレッジ・マネジメントなどの視点から明確にする。

2. 資料・情報および分析方法
パキスタン案件で実施した上下水道公社の中間層に着目した支援に関して、本事業に直接携わった専門家の経験を基にi) 研修と日常業務への運用、ii) パキスタン側関係機関の上層部における中間層支援に対する認識の変化、iii) 中間層の能力強化によって発現した成果、などに関連するナラティブをナレッジ・マネジメントなどの諸概念を用いて分析する。

3. 得られた知見
長年続いている慣行を変えて新しいことを始めるために、支援する側はカウンター・パートとの多くの議論や研修の実施そしてフォローアップなどが必要で、その結果生じる新しい変化に伴う効果をカウンター・パートが実感することにより、カウンター・パートの意識変容が始まる。