国際開発学会第35回全国大会・人間の安全保障学会第14回年次大会

国際開発学会第35回全国大会・人間の安全保障学会第14回年次大会

2024年11月9日〜11月10日JICA緒方貞子平和開発研究所、法政大学市ヶ谷校地(東京)
国際開発学会第35回全国大会・人間の安全保障学会第14回年次大会

国際開発学会第35回全国大会・人間の安全保障学会第14回年次大会

2024年11月9日〜11月10日JICA緒方貞子平和開発研究所、法政大学市ヶ谷校地(東京)

[2A207]人材の政治力学 −開発援助行政における中央・地方関係−

*松原 直輝1(1. 東京大学大学院)

キーワード:

援助行政、中央・地方関係、国際協力人材

なぜ、ODA政策実施機関のJICAが国内拠点を多数もつのか。これが本研究の問いである。1990年代以降の開発援助における政治学研究では「ガバナンスの主流化」により、レシピエント側だけではなく、ドナー側の行政システムも研究対象とされてきた。しかし、これらの研究で議論されてきたのは、西欧ドナーに共通して存在する中央省庁や援助機関と、それらの関係性であった。そして、殆どのドナー国が日本のような国内拠点を持たないために、開発援助政策における「国内の中央・地方関係」は論じられてこなかった。 
 本研究は、日本の国際協力人材に焦点を当て、上述の問いに取り組む。終身雇用制が一般的であった日本において、途上国で数年勤務するということはキャリアを不安定化させることに繋がりかねない。こうした人材不足の原因解消のために、JICAは国内拠点を中心に様々な施策をおこなっていった。具体的には、JICAの国内拠点は、都道府県庁と協力して青年海外協力隊員の募集を行い、かつ、帰国後の協力隊員の就職先や仕事を創り出したのである。つまり、ODA予算の拡大に伴って需要の増加する国際協力人材を安定的に確保するために、JICAは人材を「地方」に求め、彼らの帰国後の活躍の「場」を提供していったのである。
 以上の開発援助政策における中央・地方関係は、地方に国際協力の機会を開き、国際協力人材が地域活性化人材として活かされる道を開いてきた。そして、こうした国際協力人材が全国に遍在することは、開発援助という国内から賛同の得にくい政策に国民から理解を得ることに貢献してきたのではないかと考えられる。