国際開発学会第35回全国大会・人間の安全保障学会第14回年次大会

国際開発学会第35回全国大会・人間の安全保障学会第14回年次大会

2024年11月9日〜11月10日JICA緒方貞子平和開発研究所、法政大学市ヶ谷校地(東京)
国際開発学会第35回全国大会・人間の安全保障学会第14回年次大会

国際開発学会第35回全国大会・人間の安全保障学会第14回年次大会

2024年11月9日〜11月10日JICA緒方貞子平和開発研究所、法政大学市ヶ谷校地(東京)

[2A209]援助の贈与性―国際協力(ODA)70 年の歴史を国会議事録から繙く―

*玉村 優奈1(1. 東京大学大学院)

キーワード:

ODA、贈与、負債論、精神的援助、信用と負債

1.研究背景・問い
本研究の目的は、日本が戦後、世界銀行加盟と初の借款に至るまでの国会議事録を対象に、「資金援助」がどんな役割を果たすか『負債論』に関する先行研究から再検討することである。2023年に開発協力大綱が改定され、OSA導入で人間の安全保障が注目され(峯ら 2024)、2024年に日本は国際協力70周年を迎え、歴史を繙く節目にある。草野(2002)は、「日本のODAやNGOのこれまでの協力への感謝」として義捐金がおくられる一方で、「援助の話というのは、人々の心根に訴える、理解しやすい側面だけではない」と指摘した。グレーバーは「負債」は数量化と「借りがある感覚」を伴うと説いた。援助は、「返礼」を期待する場合もあれば、純粋贈与として報道されることもある。先行研究が検討しなかった負債論の視野から日本の「被援助」「援助」の二面性を再検討する。問いは、「どのように援助の規範が援助の受け手・ドナーとして変容したか」、「援助は受けたら返さなければならないか」だ。
2.分析方法
本研究の分析方法は、国会議事録を対象としたドキュメント分析である。国会議事録検索システムを使用し、「国際復興開発銀行」と検索し、日本がIBRD加入を予算編成で決めるまでの全33件の議事録、「世界銀行」を含む初出から初の火力借款締結年の1953年末までに開かれた第18回国会までの92件の議事録を対象に分析する。
3.得られた知見
援助の規範は、援助の受け手・ドナーという二分法ではなく、「負債」を負う複層的な関係のなかで生成される。負債の形は予算だけでなく、資金以外の他の資源―外交・政治上の同意や規範の共有、国民の感情や声―を含みうる。この研究は誰でもアクセスできる国会議事録を参照しながら、生産され続ける「ストーリー」を批判する反権力の一方法になり得る。