第44回医療情報学連合大会(第25回日本医療情報学会学術大会)

第44回医療情報学連合大会(第25回日本医療情報学会学術大会)

2024年11月21日〜11月24日福岡国際会議場・福岡サンパレス
医療情報学連合大会
第44回医療情報学連合大会(第25回日本医療情報学会学術大会)

第44回医療情報学連合大会(第25回日本医療情報学会学術大会)

2024年11月21日〜11月24日福岡国際会議場・福岡サンパレス

[2-A-1-02]情報技術による行動変容支援

*荒川 豊1(1. 九州大学, 大学院システム情報科学研究院)
本講演では、情報技術を活用した行動変容支援が医療分野にもたらす革新について紹介する。近年、ウェアラブルデバイスやスマートフォンの普及により、個人の行動を常時モニタリングし、適切なタイミングで介入することが可能になった。この技術的進歩により、生活習慣病対策を中心としたプログラム医療機器(アプリ薬, SAMD)が急速に台頭している。喫煙、高血圧、不眠症を対象としたアプリケーションが既に薬事認可を取得し、保険適用も始まっている。さらに、Apple Watchの心電計機能が医療機器として認定されるなど、消費者向けデバイスと医療の境界が曖昧になりつつある現状についても取り上げる。また、医療機器には該当しないNon-SAMDカテゴリーのアプリケーションも、健康増進や疾病予防に貢献している。こうした技術の活用により、医療DXの実現が現実味を帯びてきた。家庭での行動や生理データ、さらには睡眠時のデータも常時記録され、個人の健康状態を包括的に把握できるようになったことが大きな進展である。特に、生成AIの導入により、個々人の特性に応じたパーソナライズされた介入が可能になり、スマートフォンが医師の役割を担うかのような世界が到来している。しかし、これらの革新には多くの課題も存在する。膨大なライフログデータの処理や個人情報保護の問題、そして生成AIが提供する医療アドバイスの信頼性の確保など、解決すべき研究課題は依然として多い。この講演では、これらの課題に取り組む中で、情報技術を活用した行動変容支援がさらに発展し、医療と技術の融合が進むことで、個人の健康管理と疾病予防にどのような革命がもたらされるのかについて考察する。