第44回医療情報学連合大会(第25回日本医療情報学会学術大会)

第44回医療情報学連合大会(第25回日本医療情報学会学術大会)

2024年11月21日〜11月24日福岡国際会議場・福岡サンパレス
医療情報学連合大会
第44回医療情報学連合大会(第25回日本医療情報学会学術大会)

第44回医療情報学連合大会(第25回日本医療情報学会学術大会)

2024年11月21日〜11月24日福岡国際会議場・福岡サンパレス

[2-A-1-04]デジタル医療の社会実装に向けた試み

*松久 宗英1、玉木 悠2(1. 徳島大学先端酵素学研究所糖尿病臨床・研究開発センター、2. 一般社団法人阿波あいネット)
デジタル技術が社会を変革する中、我が国でも医療のデジタル化がハード面とソフト面の両面で精力的に進められている。医療のデジタ化はElectric Health Record(EHR)やPersonal Health Record(PHR)を介した情報収集技術と、その情報を適切に個人や医療者に提供する情報連携技術と、さらに情報そのものをより有益なものにインテグレイトする情報解析技術として進化してきた。糖尿病など生活習慣関連疾患の診療は、個人が日々計測する体重や血圧、また血糖値などの計測データと、歩数や食事内容などのライフログを記録し振り返ることで、個人へ一定の行動変容を促すことが期待される。実際に国内外で高血圧や糖尿病等の診療において、PHRを利用する医療機器が一部承認され、デジタル治療(Digital Therapeutics:DTx)が実現している。また、多くの併存症を併発する生活習慣関連疾患では多職種の医療者が多くの診療科にわたり診療情報を共有することが求められるが、我が国では各医療機関の電子カルテに情報が散在している。これを患者単位でインテグレイトし運用可能にするEHRの必要性が高い。徳島県では、生活習慣関連疾患による高度の健康障害が高頻度に認められ、医療の質の向上が求められている。そこで、我々は県全域を網羅するEHRとして阿波あいネットを設立し、その普及を目指してきた。阿波あいネットでは同意取得の運用を統一し、現在約3万人の県民が登録している。また電子カルテメーカが異なる基幹病院の情報を統合して参照可能となっており、日常診療から救急の場で医療情報の共有に利用されている。また、阿波あいネットと連携できるPHRや診療支援ツールの開発にも従事し、その有効性を検証してきた。今後、全国で展開するマイナーポータルおよび全国医療情報連携プラットホームが整備される中で、これらの技術の進歩が加速することが期待される。そこで、本講演では医療DXに関する技術的・社会的変化について徳島県での取り組みも含め紹介し、近未来の診療におけるデジタル医療について考えたい。