[4-H-4]明るい病院作りには、まず看護職を元気にすること
*宇都 由美子1、相馬 泰子2(1. 鹿児島大学病院 医療情報部、2. NTT東日本関東病院 看護部)
キーワード:
Nursing DX、shortage of nursing staff、hospital management
2023年「病院看護実態調査」(日本看護協会)によると、新型コロナウィルス感染症蔓延により臨地実習等に影響を受けた新卒者の離職率は2021年度に初めて10%を超え、2022年度は10.2%とほぼ同様の結果であった。看護管理者が考える離職の理由としては、健康上の理由、看護職員としての適性への不安、上司・同僚との人間関係等が上位にあげられていた。今や、看護職員不足は日本中の多くの医療機関の共通した悩みであり、看護の現場は人手不足、時間外勤務の増大、有給休暇の取得率低下など問題山積である。 一方、我が国の喫緊の課題は、超高齢社会の到来に伴い、医療・介護・年金などの社会保障制度が変革を迫られる2025年問題がある。さらに、それに続く人口構造の変化による社会保障制度の持続可能性が脅かされる2040年問題など厳しさを増すばかりである。また、新型コロナウィルスは医療現場に大きな爪痕を残しており、受診患者数の減少による赤字転落や入院病床の廃止、閉院へと追い込まれるケースが増えている。 これらに対して、2024年診療報酬改定では、データやデジタル技術を活用して、医療サービスの提供方法や業務プロセスを変革していくことを掲げている。そもそも病院の収入は7割程度を入院が占め、収入増には病床を効率よく稼働させることにある。病床管理を看護部門が担う医療機関が増えてきており、その是非が病院経営に反映している。また、地域包括ケアシステムの深化・推進についても看護職の果たす役割は大きい。最近は情報担当看護師を配置している医療機関も増えている。このような人材育成や活用が、ますます重要になっていく。どうすれば「明るい病院作り」に必要なDXの推進による質の高い医療や看護が実現できるのか。病院経営の安定のために必要な人材育成や病院運営の変革ができるのか。多面的な意見交換を行い、問題解決に向けた提言を行っていきたい。
