[IIYS-04]ブタ卵胞液中のTF濃度を基盤とした2ステップ培養(preIVM-IVM)による新規IVM法の開発
*藤内 慎梧1、河端 茜1、山岡 愛実1、中西 寛弥1、島田 昌之2、山下 泰尚1(1. 県立広島大院総合学術、2. 広島大院統合生命)
[目的]家畜卵子の体外成熟培養(IVM)は家畜増産に重要だが,発生能が低い。卵胞発育期の卵胞液へのトランスフェリン(TF)の蓄積を見出したことから,本研究では生理的TF量を反映させたpreIVMとIVMによる2ステップのIVM法の開発を試みた。[方法]1-3mm,4-7mm,8mm<の卵胞のTf,TF受容体(Tfr1)発現と局在,卵胞液TF量を調べた。顆粒層細胞(GC)に低容量FSHを添加したpreIVM培地(Control;Con)区に鉄包合TF(Holo-TF)を添加(Holo区)し培養後,細胞内の鉄局在を調べた。COCをCon区,Holo区または鉄非含有TF(Apo-TF;Apo)区でpreIVM後,卵丘細胞の卵胞発育マーカーを調べた。Holo区でpreIVM後,高容量FSH+EGFを添加したIVM培地(Con)区,HoloまたはApo区でIVMし,卵成熟率(MII),胚盤胞率を調べた。[結果]全ての卵胞サイズでGCのTf発現は低いが,8mm<でTFが高濃度蓄積し,FSH依存的にGCに鉄が取込まれた。preIVM時の卵胞発育マーカーは,Holo存在下で増加したが,IVM時にHoloが存在するとMII率,胚盤胞率は低下した。[結論]本研究により,Holo添加のpreIVMに続きHolo無添加IVMで高い発生能を有する卵子を作出可能な新規IVM法の開発に成功した。
