第94回日本細菌学会総会

第94回日本細菌学会総会

2021年3月23日〜3月25日オンライン開催
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[WCB-1]ミチス群レンサ球菌が産生するコレステロール依存性細胞溶解毒素モチーフを持つ細胞接着分子の特性

○松本 愛理1,田端 厚之1,大倉 一人2,尾田 優紀1,児玉 千紘1,大國 寿士3,高尾 亜由子4,菊池 賢5,友安 俊文1,長宗 秀明1(1徳島大院・先端技術科学教育,2鈴鹿医療科学大・薬,3保健科学東日本・総合ラボラトリー,4鶴見大・歯・口腔微生物,5東京女子医・感染症)
Streptococcus pseudopneumoniae(SPpn)は,ミチス群レンサ球菌(MGS)に属する比較的新しい菌種であり,S. pneumoniae(SPn)やS. mitis(SM)と近縁であることがゲノム解析から明らかになっている。SPpnのゲノム上には,コレステロール依存性細胞溶解毒素(CDC)等の病原因子をコードする遺伝子が確認されているが,ヒトに対するSPpnの病原性は未だ明らかになっていない部分が多い。本研究では,SPpnで近年報告された,リパーゼドメイン,タンデムに位置するCDC由来のレクチンドメイン,CDCの受容体認識ドメインなどの複数の機能ドメインを有する新規遺伝子につき,その翻訳産物をMitilectin(MLC)と命名し,特性を明らかにすることを目的とした。
まず,mlc遺伝子の分布解析を行った結果,SPpnだけでなく,SPnやSMにおいても,mlc遺伝子保有株がwebデータベース上で確認された。次に,SPpnとSMのMLC産生株を用いて検討した結果,mlc遺伝子の転写翻訳産物は分泌型と菌体表面結合型で存在していた。また,大腸菌を用いて調製したMLC組換え体はヒト由来株化細胞に対して顕著な結合性を示すにも関わらず,ヒト由来赤血球や株化細胞に対する障害性は示さなかったことから,MLCは宿主細胞への菌体の接着性に寄与することが考えられた。さらに解析の結果,その結合性はMLC内のタンデム型レクチンドメイン構造に依存することが明らかとなった。
これらの結果から,MLCは,SPpnやSMなどのMLC産生株の病原性への関与が示唆される新規分子と考えられた。