講演情報

[134]看護基礎教育におけるAR を用いた看護技術の自己練習プログラムの開発と今後の課題

浅海 くるみ1, 大木 正隆1, 佐藤 広隆2, 田仲 浩平2 (1.東京工科大学医療保健学部看護学科, 2.東京工科大学医療保健学部臨床工学科)
【目的】看護基礎教育における気管内吸引の看護技術の習得に向けて,AR機能付きスマートグラス(以下ARスマートグラス)を用いた自己練習プログラムを開発した.本研究の目的は,実際に使用した学生へのインタビューを通じて,ARを用いた看護技術の自己練習の利点と課題を検討することである.【方法】看護学科4年生18名を対象に,紙テキストを用いて気管内吸引を自己練習した後,ARスマートグラスを用いた自己練習を実施した.終了後,ARスマートグラスおよび紙テキストの自己練習について,それぞれの利点と課題に関する半構造化面接をおこなった.データは,質的内容分析を実施した.【倫理的配慮】東京工科大学倫理審査委員会による承認を得た(第E23HS-020号).【結果】分析の結果,ARスマートグラスの利点は<正確な手順を理解できる><記憶に残りやすい>こと,ハンズフリーで操作できることで<流れを止めずに練習できる>,ARの真新しさなど<意欲的に取り組める>であり,課題は<見え方や使い心地が悪い><情報量が多い>,耳や目の<身体的負担がある>であった.紙テキストの利点は,<全体の流れを見通せる><必要な情報を選択できる>,目や耳の<身体的負担がない>であり,課題は,紙をめくる動作から<練習の流れがとまった><イメージがつかないため時間がかかった>が挙げられた.【考察および今後の課題】結果から,ARスマートグラスによる耳や目への身体的負担に対するデバイスの改良が必要である.さらに,ARスマートグラスが提示する情報量の最適化が必要と考えられた.具体的には,学生がARスマートグラスを用いて練習した履歴データを活用し,その後の練習においては,個々の習熟度に応じて情報量をカスタマイズするなど,個別最適化した自己練習コンテンツの開発が挙げられる.