講演情報

[145]酸素流量計の運用に臨床工学技士の介入は必要であるか

柳原 佑美, 朝倉 正晃, 松倉 友哉, 金田 達也, 原田 俊介, 三戸 一孝, 南條 明徳 (豊川市民病院)
【背景】在宅人工呼吸器の使用時,同一患者において使用する酸素流量計によって吸入酸素濃度に誤差が生じる事例を経験した.院内全ての酸素流量計を点検したところ,購入時期不明の機器が多数確認された.酸素流量計は添付文書上,定期点検が推奨されている管理医療機器であるが管理は各病棟に一任しているのが現状である.【目的】酸素流量計の運用に臨床工学技士の介入が必要であるか検討する.【方法】対象は新鋭工業㈱製のパイピング流量計P-N-102(10L/min)256台.外観点検および精度点検をおこなった.外観点検で製造番号,構成部品の不備と破損の有無を確認.合格した流量計は精度点検をおこなった.精度点検はアルバック東北㈱製の酸素流量計チェッカFLC-103を使用し,判定はチェッカの基準に基づき0.5,1,2,5,10L/minの各流量設定において,0.5,1L/minは±30%で合格,2L/minは±20%で合格,5,10L/minは±10で合格とした.点検を実施したすべての流量で合格したものを使用継続,不合格となった機器は使用不可とした.【結果】外観点検(製造番号の欠損,ゲージ管内部のフィルタの紛失,アウトレット接続部のぐらつき)では21台が不合格.精度点検では,167台が合格,68台が不合格であった.またフロートの動作が不安定で流量設定が困難な機器も存在した.【考察】製造番号が欠損し,耐用年数を超過して使用していることが予測され,また機器台帳への登録がないため,購入時期不明で固体識別も困難であった.部品の紛失,ぐらつき,フロートの動作は使用中の確認が困難で,定期的な点検が重要であると考える.以上の理由から,臨床工学技士による保守管理をおこない,適切な点検や部品交換時期の設定と適正台数の把握のため中央管理化が望ましい.【まとめ】安全な酸素流量計の運用に際し,臨床工学技士の介入が必要であると考える.中央管理による定期的な点検や部品交換,適正台数の把握を今後の課題とする.