[シンポジウム1]医療機器IoT化により未来型遠隔治療を実現するスマート治療室SCOT
○村垣 善浩, 岡本 淳, 堀瀬 友貴, 楠田 佳織, 田村 学, 小林 英津子, 正宗 賢, 伊関 洋(東京女子医科大学 先端生命医科学研究所 先端工学外科学分野)
手術“エラー”の原因として必要な機器が揃ってない37%,組合わせや設定ミスが43%との報告がある.そこで我々は,滅菌空間を提供する従来手術室と異なり,部屋自体が単体医療機器として治療を遂行するスマート治療室(Smart Cyber Operating Theater: SCOT)を5大学12企業とAMEDの支援下で開発し,3施設3タイプで90例以上臨床研究をおこなった.
術中MRI装置を含めた基本機器をパッケージ化したbasic SCOTを2016年広島大学に導入し,悪性脳腫瘍や骨腫瘍等41例に使用.産業用ミドルウェア(OpeLiNK)により全手術機器(20機器)をネットワーク化したStandard SCOTを信州大学に導入し2018年の世界初症例含め計18例施行した.戦略デスクは時間同期した多種デジタルデータを表示でき,振り返りやコメント機能も稼働し,相互通信や“お絵かき”機能によって術中フローサイトの結果や頭蓋骨削除範囲の遠隔助言に有用であった.結果を予測するAI導入とロボット化を目指したhyper SCOTのデモ版を2016年,臨床版を2019年女子医大に導入し31例に施行した.全100例で重大なインシデント・アクシデントはなく,平均摘出率は約90%で1ヶ月以内の再手術(0%)はなかった.
手術の意思決定に必要な情報を網羅するSCOTと戦略デスクは遠隔手術支援に最適なシステムであり,上級医が遠隔地から戦略デスクでの支援する方法,SCOTが病院を飛び出して(mobile SCOT)災害救急現場で救命医の手術を中核病院等の遠隔地から専門医が支援する方法が考えられる.5G等大容量高速低遅延の技術が広がれば,空間を超えた外科チームにより高度均霑化した手術が可能となる.ロバストな通信技術が確立されれば手術支援ロボットと組み合わせ過酷な環境で現場医師なしの遠隔手術が可能となるだろう.
術中MRI装置を含めた基本機器をパッケージ化したbasic SCOTを2016年広島大学に導入し,悪性脳腫瘍や骨腫瘍等41例に使用.産業用ミドルウェア(OpeLiNK)により全手術機器(20機器)をネットワーク化したStandard SCOTを信州大学に導入し2018年の世界初症例含め計18例施行した.戦略デスクは時間同期した多種デジタルデータを表示でき,振り返りやコメント機能も稼働し,相互通信や“お絵かき”機能によって術中フローサイトの結果や頭蓋骨削除範囲の遠隔助言に有用であった.結果を予測するAI導入とロボット化を目指したhyper SCOTのデモ版を2016年,臨床版を2019年女子医大に導入し31例に施行した.全100例で重大なインシデント・アクシデントはなく,平均摘出率は約90%で1ヶ月以内の再手術(0%)はなかった.
手術の意思決定に必要な情報を網羅するSCOTと戦略デスクは遠隔手術支援に最適なシステムであり,上級医が遠隔地から戦略デスクでの支援する方法,SCOTが病院を飛び出して(mobile SCOT)災害救急現場で救命医の手術を中核病院等の遠隔地から専門医が支援する方法が考えられる.5G等大容量高速低遅延の技術が広がれば,空間を超えた外科チームにより高度均霑化した手術が可能となる.ロバストな通信技術が確立されれば手術支援ロボットと組み合わせ過酷な環境で現場医師なしの遠隔手術が可能となるだろう.
