[II-PAL-04]光緩衝断層法(OCT)を用いた川崎病遠隔期冠動脈病変におけるVasa Vasorumの検討
○垣本 信幸1, 武内 崇1, 樽谷 玲2, 猪野 靖2, 田中 篤2, 久保 隆史2, 末永 智浩1, 立花 伸也1, 渋田 昌一3, 赤坂 隆史2, 鈴木 啓之1(1.和歌山県立医科大学 小児科, 2.和歌山県立医科大学 循環器内科, 3.紀南病院 小児科)
キーワード:
川崎病、OCT、vasa vasorum
【背景・目的】近年、光緩衝断層法(OCT)を用いた検討で、アテローム性動脈硬化の進行,不安定化に 冠動脈外膜に存在する血管栄養血管であるvasa vasorum(VV)の増生や、VVからの新生血管が重要な役割を担っていると報告されている。一方で、川崎病(KD)冠動脈病変(CAL)の遠隔期に、VVに関して検討した報告は存在しない。今回我々は、OCTを用いて、CAL症例の遠隔期におけるVVの関与を検討した。【対象・方法】対象は、急性期に何れかの枝にCALを合併し、フォローアップ冠動脈造影(CAG)中にOCTを施行した21症例。遠隔期にCAG上、異常所見を認めない冠動脈枝を抽出し、急性期のCAGでCALを認め、その後退縮しCAG上正常化した冠動脈枝群(regression群)と、急性期にもCALを認めなかった冠動脈枝群(non CAL群)に分類した。OCT上、regression群で急性期にCALを認めた部位のVVの個数および冠動脈内膜厚を計測し、non CAL群の各枝の近位部のVVの個数および冠動脈内膜厚と比較検討を行った。【結果】KD発症からOCT施行までの経過期間の中央値は16年5か月。OCTを施行し得た冠動脈51枝中、遠隔期にCAGでCALを認めない枝は34枝。その中でregression群は16枝、non CAL群は18枝。VVの個数はregression群がnon CAL群と比較して有意に多かった(p=0.0235)。また、内膜厚もregression群で有意に大きかった(中央値478μm vs 355μm, p=0.0058)が、non CAL群においても成人の正常上限とされる400μm以上の内膜肥厚を有する枝を7/18(39%)に認めた。【まとめ】CALの退縮、内膜肥厚にVVが関与していることが示唆された。また、急性期にCAG上CALを認めない冠動脈においても、遠隔期に内膜肥厚が残存することがあり、長期の経過観察が重要である。
