[I-EL01]新しい発想や技術を臨床現場にどう持ち込むか:Another EBM (Engineering Based Medicine) の活用
○梅津 光生(早稲田大学医療レギュラトリーサイエンス研究所)
1)背景:新しい発想や技術が患者の幸せのために広く活用するには多数のハードルがある。演者は、開発メンバーとして携わった補助人工心臓(国循型とEVAHEART)の臨床第1例(First In Human)を1982年と2005年に経験した。その際の想像を超えるストレスをどう乗り越えてきたかを紹介してみたい。
2)方法:国循時代は、ヤギの慢性実験を重ねれば、やがて患者使用許可が国から得られると信じていた。しかし、PMDAが設立され、新規の医薬品・医療機器の承認には、基礎検討、動物実験、臨床応用を段階的に踏んで、安全性・有効性の根拠の提示が要求された。しかし、目標症例数を集めることが難しく有効性を判定する評価方法も不透明な時に、Another EBM (Engineering Based Medicine) の活用を試みた。
3)結果:EVAHEARTの性能向上では、(a)実臨床を再現できる循環シミュレータ実験で、鏡面仕上げと新規のチタンメッシュの粗面の脱血カニューレの血栓形成を比較し、粗面の方が血栓飛散量を低く抑えることが判明した。(b)現存の脱血カニューレと、心臓にカフで縫合するチップレス脱血管の血流パターンを、左室を模擬した可視化回路内の粒子流れを追跡比較した結果、流れのよどみの少ない傾向が後者で明確に示された。
4)考察:(a)の実験結果を検証した臨床データでは、植込み2か月後以降は粗面カニューレの場合、重篤な脳血管障害の例が全く見られなかった。(b)では、血栓に起因する重症化症例が新縫合法では現在まで見られず、レギュラトリーサイエンスを念頭に置いた工学実験結果が、実臨床例の結果を正確に反映している。
5)まとめ:血液循環シミュレータあるいは数値解析結果より、新規デバイスの安全で効果的な臨床結果が取得できることが判明した。この新手法は世界的にも注目されており、2019年秋に改訂された条件付き早期承認制度にも対応できる有効なアプローチである。
2)方法:国循時代は、ヤギの慢性実験を重ねれば、やがて患者使用許可が国から得られると信じていた。しかし、PMDAが設立され、新規の医薬品・医療機器の承認には、基礎検討、動物実験、臨床応用を段階的に踏んで、安全性・有効性の根拠の提示が要求された。しかし、目標症例数を集めることが難しく有効性を判定する評価方法も不透明な時に、Another EBM (Engineering Based Medicine) の活用を試みた。
3)結果:EVAHEARTの性能向上では、(a)実臨床を再現できる循環シミュレータ実験で、鏡面仕上げと新規のチタンメッシュの粗面の脱血カニューレの血栓形成を比較し、粗面の方が血栓飛散量を低く抑えることが判明した。(b)現存の脱血カニューレと、心臓にカフで縫合するチップレス脱血管の血流パターンを、左室を模擬した可視化回路内の粒子流れを追跡比較した結果、流れのよどみの少ない傾向が後者で明確に示された。
4)考察:(a)の実験結果を検証した臨床データでは、植込み2か月後以降は粗面カニューレの場合、重篤な脳血管障害の例が全く見られなかった。(b)では、血栓に起因する重症化症例が新縫合法では現在まで見られず、レギュラトリーサイエンスを念頭に置いた工学実験結果が、実臨床例の結果を正確に反映している。
5)まとめ:血液循環シミュレータあるいは数値解析結果より、新規デバイスの安全で効果的な臨床結果が取得できることが判明した。この新手法は世界的にも注目されており、2019年秋に改訂された条件付き早期承認制度にも対応できる有効なアプローチである。
