第56回日本小児循環器学会総会・学術集会

第56回日本小児循環器学会総会・学術集会

2020年11月22日〜11月24日オンライン開催
日本小児循環器学会総会・学術集会
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2020年11月22日〜11月24日オンライン開催

[II-DB01-1]なぜ胸が閉められない?!あれれ、不整脈も出てきた?!さてどうする? 2度の心肺蘇生を行なったTOF APVSの1乳児例

田邊 雄大, 元野 憲作, 濱本 奈央, 大崎 真樹(静岡県立こども病院 循環器集中治療科)

キーワード:

周術期管理、不整脈、ECMO

【背景】先天性心疾患の周術期管理において、胸を閉じられるかどうかは患者予後に大きく影響する。閉胸を行うことで、繰り返し、循環動態が繰り返し悪化した1例を経験した。【症例】生後3ヶ月男児。胎児診断でTOF APVSが疑われて、当院紹介。35週4日、1683gで出生し、生後に脊椎異常や鎖肛も発覚し、VACTER連合と診断。心疾患は、胎児診断と同じTOF APVS。生直後はAPVSによる呼吸症状がなかったが、徐々に肺動脈の圧排による気管軟化症が進行したために、乳児期早期の心内修復の方針になった。【経過】生後3ヶ月時(3200g)に右室流出路再建(TAP)+VSD閉鎖+肺動脈形成(LeCompte)を実施。右室拡大により閉胸が出来ずに開胸帰室。POD8に閉胸をしたが、同日夜から心房頻拍(AT)が出現。不整脈治療が一度は安定したが、POD11(閉胸3日後)に心機能が急激に低下し、1回目の心肺蘇生。CCU内で緊急で開胸し、循環は安定して、ECMOを回避。緩徐に皮膚寄せを行い、POD21(1回目の閉胸から13日後)に2回目の閉胸。POD40に再度AT発作から循環不全になり、2回目の心肺蘇生を実施。ROSCは得られたものの、心収縮不良であり、ECMO装着を行なった。その後、無事にECMOを離脱し、長期CCU滞在をしたものの、生後7ヶ月(術後4ヶ月)で無事に退院した。【経過のポイント】1.なぜ閉胸が出来なかったのか?、2.術後の難治性ATへの治療戦略は?、3.ECMO装着後の離脱への戦略は?、4.そもそも心内修復の時期は正しかったか?【結語】長期に渡るICU管理の中で、複数回の蘇生行為を行いながらも、救命できたTOF APVSの1例を経験した。経過中のポイントにつき、ディスカッションを行い、意見を頂きたい。