The 56th meeting of the Japanese association of educational psychology

The 56th meeting of the Japanese association of educational psychology

Nov 7 - Nov 9, 2014Kobe International Conference Center
The Japanese Association of Educational Psychology
The 56th meeting of the Japanese association of educational psychology

The 56th meeting of the Japanese association of educational psychology

Nov 7 - Nov 9, 2014Kobe International Conference Center

[JA08]生きがい研究から見えてくるもの(2)生きがい形成への支援に向けて

濱野佐代子1, 浦田悠2, 大山智子3, 熊野道子4(1.帝京科学大学, 2.京都大学, 3.白百合女子大学, 4.大阪大谷大学)
[企画主旨]
濱野佐代子・浦田悠
人生に意味を見出し、生きがいを感じて生きることは、人生を豊かに充実して生きることに役立つと考えられる。しかし、将来への見通しや経済状況の不安定な現代において、生きる意味や生きがいを見出せない人が多くなってきていると考えられる。刹那的に生きることはそれで幸せといえるかもしれない。しかし、生きがいや人生の意味は、人生の途上で繰り返し換起される生涯をかけての問いとなるだろう。
では、そもそも生きがいとは何か。「生きがい」という言葉は、「いかにも日本語らしいあいまいさと、それゆえの余韻とふくらみ」(神谷, 1966)を持っているため、とらえどころがない側面があるものの、日本の心理学や社会学などでは、幸福感や人生の意味や目的、充実感と関連する鍵概念として扱われ、一定の知見が蓄積されてきた。また、生きがいの対象を創造・発見し、生きがい感を高めていくことは、広義には全ての心理臨床や教育現場の実践における目標であると言える。しかしながら、この生きがい概念が、現代の国内外の心理学理論や実証的研究の中でいかに位置づけられ、またその上で、生きがい形成を支援する方法をいかに実証的にとらえうるか、ということについては、今後検討すべき課題も多く残されている。
そこで、本シンポジウムでは、現代人における生きがい概念について、改めて生きがいに関連する理論モデルおよび調査的研究から検討し、さらに、その影響要因を探りたい。また、我が国の現代人の生きがいについて詳しい指定討論者からコメントをいただき、いかにして生きがい形成や再構築を支援しうるかについての方策を探る議論を展開していきたい。

[話題提供の概要]

生きがいの創造・発見を支援する方法をめぐって ??人生の意味の心理学から??
浦田悠
生きがいに関する理論や実証研究においては、その中核的な要素として、人生の意味や目的が挙げられることが多く、日常用語としても専門用語としても、人生の意味と生きがいは、しばしば相互互換的・相互包摂的な概念として扱われてきた。
もちろん、両者の概念の微妙な差異については慎重になるべきであり、筆者は、人生の意味は生きがいに比べてより価値中立的で抽象的な側面も多く含むものと考えている。とはいえ、自分の人生に意味があるという感覚や経験は、生きがい対象へコミットするモチベーションを高め、またそれへコミットするプロセス自体にも生きがい感をもたらす、というように相互に密接な関わりがあるだろう。また、これまでの人生の意味に関する心理学的研究では、意味を有することが、様々な精神的健康の諸側面にとって重要なファクターであることが明らかにされてきており、最近では、Wongの意味療法(Meaning Therapy)をはじめとして、意味を創造・発見するための心理的支援の方法が提唱されている。
本発表では、これらを踏まえて、生きがいの創造・発見につながるような、人生の意味の(再)構築の支援について、意味に着目したアプローチやその周辺理論から探っていきたい。

大学生の生きがい感
濱野佐代子
現代、大学全入時代を迎え、大学生の目的意識の希薄さや学力の低下が問題視されている。また、大学入学後の学習意欲の低下、目的意識の喪失、無気力、不登校や退学問題が増加してきている。大学生がいきいきと学生生活を送るためには、生きがいを感じることが重要であると考えられる。大学生の生きがい感については、近藤・鎌田(1998)が4因子(現状満足感・人生享楽・存在価値・意欲)の生きがい感スケールを作成している。しかし、前述のような時代を迎え、一方で、コミュニケーションツールの簡素化と普及率の上昇やウェブ上のソーシャルネットワークの充実など、大学生の取り巻く環境が複雑に変化してきている。したがって、現代の大学生の生きがい感について再考する必要があると考えられる。さらに、現代の大学生の生きがい感を明らかにすることによって、生きがい感喪失に端を発している諸問題の解決の一助としたい。
そこで、本発表では、大学生を対象とした質問紙調査結果を基に、現代の大学生の生きがい感について報告する予定である。特に、現在の満足感や幸福感、将来への希望、人間関係を視点に論じていきたい。さらに、生きがいを感じられない大学生のサポートを視野に入れて報告する予定である。

現代青年の生きがい感の探索的検討
大山智子
大野(1984)は生きがい感と充実感が類似概念として扱われてきことを指摘し、生きがい感は青年期の自我の問題、成人期のより社会的な問題、存在論的意味なども含む幅広い内容を含んでいると述べている。そのうえで、青年が健康な自我同一性を統合していく過程で感じられる自己肯定的な感情が充実感であるとして、アイデンティティの感情・感覚的側面の観点から青年期に感じられる充実感を測定する尺度を開発した。本発表では大学生を対象としてこの充実感尺度により青年期の生きがい感を感じている状態の一端を捉えることに加え、存在論的意味・現在の生きがい・現在の自分が考える将来の自分の生きがいについての自由記述を求めて検討を行った結果を報告する。また、充実感尺度の下位因子に社会とのつながりのある感じや連帯感である「連帯?孤立因子」がある。このような感覚には他者志向的な性格特性も関連する可能性が考えられる。そこで、他者志向性に関連する要因の検討も加え、現代青年の生きがい感の様相や生きがい感の形成に影響を及ぼす要因を考察していきたい。