The 60th Annual Meeting of the Japanese Association of Educational Psychology

The 60th Annual Meeting of the Japanese Association of Educational Psychology

Sep 15 - Sep 17, 2018Keio University Hiyoshi Campus
The Japanese Association of Educational Psychology
The 60th Annual Meeting of the Japanese Association of Educational Psychology

The 60th Annual Meeting of the Japanese Association of Educational Psychology

Sep 15 - Sep 17, 2018Keio University Hiyoshi Campus

[ハ防企]ジェンダー・クオータ(性別割り当て)とハラスメント政治学と心理学の架橋

大塚雄作1, 三浦まり#2, 高橋惠子3, 金子雅臣#4(1.京都大学, 2.上智大学, 3.聖心女子大学, 4.職場のハラスメント研究所)
 本年は,国会などでも,「セクハラ」問題が取り上げられ,ハラスメントの問題は,大学のみならず,あらゆる場面で起こっている,ある意味では日常的な問題であることを窺い知ることができました。それに対しての政府の対応などを見ておりますと,ハラスメントをいかに防止し,それが発生した際にどう対処していくかということに関する意識は,一般にもまだまだ遅れているという印象も拭い得ないものがありました。
 ハラスメントを防止していく一つの方向性としては,職場や人間関係などの構造を制度的に改編して,差別の起きにくい環境作りを講じていくということが考えられます。その点で,今回の講演会では,クオータ制を取り上げてみたいと思います。特に性差別という観点では,ジェンダー・クオータという考え方が諸外国では取り入れられるようになっています。クオータ制にはまだ馴染みのない会員も多いと思われますので,ハラスメント防止の視点からその基本と活用について,政治学を専門とされている三浦まり先生から講演をいただこうということになりました。
 三浦まり先生の略歴等は以下に記したとおりですが,2014年に,「ジェンダー・クオータ――世界の女性議員はなぜ増えたのか(明石書店)」を編集されているほか,2018年にも,「社会への投資――〈個人〉を支える〈つながり〉を築く(岩波書店)」を編集され,個人への投資に加えて,人びとのあいだの信頼・協調関係への投資を行い,人びとが安心し,信頼しあって暮らしていける社会をつくるための新たな「社会的投資」のあり方をアピールされています。まさに,ハラスメント防止の視点からすれば,その根底に求められる考え方であると思います。
 三浦先生には,政治学の視点から,ハラスメントの問題に絡めて,ジェンダー・クオータなどの制度のあり方をご教示いただき,それに対して,教育心理学会から,ハラスメント防止委員を長く務めて下さっており,ジェンダー問題に対して教育心理学の視点からアプローチもされている高橋惠子先生に指定討論をいただくと共に,ハラスメント防止委員会の専門委員として常々ご指導賜っている金子雅臣先生にも指定討論をいただく予定にしています。
 ジェンダー・クオータの考え方は,政治の分野のみならず,大学におけるハラスメント問題を考える際にも,多くの示唆を得ることができると思いますので,この政治学と心理学の架橋へのチャレンジの機会に,是非,多くの会員諸氏の参加を期待しております。

クオータ制(quota system)
社会的少数者差別の解消をめざす暫定的積極的差別是正措置(ポジティブ・アクション)の一つで,一定の人数や比率を女性または男女に割り当てる手法。ノルウェーで1970年代に政党の自主的な候補者クオータ制が導入されて以来世界的に広がり,現在,法的クオータを含めたなんらかのクオータを導入している国は130カ国にのぼる。他方,意思決定に男女が対等に参画することが民主主義の原則であるとするパリテ(男女均等・同数)の考え方も広がりつつある。つまり,手段としてのクオータと原則としてのパリテの二つの考え方が存在する。日本では候補者を男女均等とすることを努力義務として位置付けた政治分野における男女共同参画推進法が議員立法として2018年5月に成立した。これは日本版パリテ法であり,この基本原則の下に各党が自主的にクオータを実施することを促すものである。

講師プロフィール
三浦まり
慶應義塾大学大学院法学研究科を修了後,カリフォルニア大学バークレー校でPh.D(政治学)を取得。東京大学社会科学研究所研究機関研究員,上智大学法学部助教授を経て,現在,上智大学法学部教授。専門はジェンダーと政治,福祉国家論。主著に『私たちの声を議会へ:代表制民主主義の再生』(岩波書店,2015年),『日本の女性議員:どうすれば増えるのか』(編著,朝日選書,2016年),『ジェンダー・クオータ:世界の女性議員はなぜ増えたか』(共編著,明石書店,2014年),『社会への投資:<個人>を支える<つながり>を築く』(編著,岩波書店,2018年),Welfare Through Work: Conservative Ideas,Partisan Dynamics, and Social Protection in Japan (Cornell University Press, 2012)。「政治分野における女性の参画と活躍を推進する議員連盟」のアドヴァイザーを務め,政治分野における男女共同参画推進法(2018年5月成立)の準備に関わった。