The 60th Annual Meeting of the Japanese Association of Educational Psychology

The 60th Annual Meeting of the Japanese Association of Educational Psychology

Sep 15 - Sep 17, 2018Keio University Hiyoshi Campus
The Japanese Association of Educational Psychology
The 60th Annual Meeting of the Japanese Association of Educational Psychology

The 60th Annual Meeting of the Japanese Association of Educational Psychology

Sep 15 - Sep 17, 2018Keio University Hiyoshi Campus

[JE05]グループ活動を通じた学生支援

大塚貴之1, 鈴木由美2, 原田敬文3, 室谷雅美4, 稲田達也5, 原田増廣6(1.豊岡短期大学, 2.聖徳大学, 3.豊岡短期大学, 4.南海福祉専門学校, 5.豊岡短期大学, 6.豊岡短期大学)
問  題
 大学生・短大生・専門学校生など18歳以上で学校に通っている青年期後期の若者の対人関係は,それぞれの場所において困難を抱えている。落合・佐藤(1966)は,青年は親や教師に頼りたくないいう気持ちを持ちながら,自分にも自信が持てない。このような状態にある青年にとって,友だちは大きなささえになると述べている。青年が学校で適応するためには,友人が重要な存在になる。しかし気の合う友人が見つけられないのが現状である。
 吉田(2003)の大学生に行った友人関係調査によると,全般に見られる4つの特徴を明らかにしている。①9割の学生が構内で特定のグループに所属し,メンバーは3人~6人で構成されている。②所属したきっかけは物理的距離の近さと自然発生的な偶然であった。③女子学生より男子学生の方が複数のグループに所属している傾向があった。④グループの友人と積極的に関わりを持ち,その関係に満足していると評価する学生が多いことを明らかにしている。学生たちは,入学した際に偶然近くに座った人と話してみたら,仲良くやっていけそうだった。というきっかけの回答が多く見られた。しかし偶然近くにいた人と気が合わなかったら,どうするのだろうか。
 高井(2008)は青年期における人間関係の悩みを自由記述の質問紙で検討を行った。悩みは「性格」「対人スキル不足・コミュニケーション不足」「心が許せる友だちがいない・希薄な人間関係」さらに「合わない相手との関係」「考え方の異なる他者との共存」を挙げていたと述べている。青年期の人間関係では,友人といると楽しいことはわかっているが,どのようなスキルを持ち友人関係を作っていくのかが,課題である。

企画の趣旨
 本シンポジウムでは,友だちを作る支援として,種々なグループ体験活動の実践例をもとに,グループ活動が友だち作りスキルへの影響について,明らかにさせたいと考えている。今回のグループ活動は,対人関係ゲーム・アドベンチャーゲーム・コンセンサスゲームについてであり,これらのゲームの紹介と効果について,実際の学生たちの感想を含み紹介したい。

話題提供
対人関係ゲームを通じた学生支援
鈴木由美
 対人関係ゲームは,田上(1981, 1983a, 1983b, 1984)と田上・内山(1993)の拮抗動作法をベースに,國分(1992)の開発した構成的グループ・エンカウンターのエクササイズのやり方を取り入れ,不登校児童生徒の学級復帰や選択性緘黙児への支援から始まった。
 対人関係ゲームは,心身の調和のとれた発達,個性の伸長,集団の一員としてよりよい生活や人間関係を築くなどの自主的,実践的な態度を育て,自己の生き方についての考えを深め,自己を生かす能力を養うことを目的としている。
 グループへのエクササイズを通じ,個人が持つ課題を克服し,集団生活への適応を促す活動を取り入れることで,人間関係で悩みを持つ大学生においても,望ましい人間関係が構築されることがわかった。今回はA大学で行った対人関係ゲームの紹介と友だち作りに効果が見られた内容について,学生の評価を比較しながら,紹介したい。

アドベンチャープログラムを通じた学生支援(仲間づくりプログラム)
原田敬文
 アドベンチャープログラムとは,プロジェクトアドベンチャーをはじめとする野外活動系のプログラムである。これらの活動は,ロープスコース(チャレンジコースともいう)等の,専門器具を使い,自己へのチャレンジを軸に,仲間と支えあい,自尊感情,自己理解を高めるプログラムであった。昨今では,この理論的背景をもとに,校内でも実施できるアクティビティが開発されている。プロジェクトアドベンチャーの基本理念は,Full value Contract(参加者全員がお互いを尊重し合う約束)とChallenge by Choice(全てのチャレンジは参加者自身の選択に任され,誰からも強制されない)であり,友人や自分自身への信頼感,協調性やコミュニケーション力を育成する体験型学習プログラムである。
 松下・松尾・望月(2017)によれば,学生に社会人基礎力の項目を事前に意識づけさせつつ,プロジェクトアドベンチャーに取り組んだ結果,研修の事後において,学生の成長を確認することができ,さらに,数値としては現れていないものの,非言語のコミュニケーションにより,学生間の距離,学生と教員との距離は縮まったと感じられたとした。これらの活動は,他者との関わり方や信頼関係の築き方などを修得することができ,学生を変容させる有用な方法であると考えられる。
 これらの活動は,グループの団結力を高めることにつながるため,新学期のクラス開き等にも役立つと考えられ,大学等においても入学時のプログラムとしても効果が期待できる。そこで,大学等における導入例を紹介する。

グループでの創作活動を通じた学生支援(保育者養成)
大塚貴之
 「ごっこ遊び」や「なぐり描き」,「粘土遊び」,「砂遊び」といった表現活動は,子どもの成長・発達をうながす一助になる。
 臨床心理士会のHPによると,芸術療法とは,このような表現活動の意味や役割を生かした心理療法であり,表現活動の相違によって,絵画療法,音楽療法,心理劇,箱庭療法,舞踏療法,詩歌療法,コラージュ療法,造形療法などがあるとしている。
 これらの芸術療法のうち,物事を制作する創作活動は,学生の想像力を高め,心理的内面を表現することが期待される。心理的内面を自由に表現することは,ありのままの自分像を表現することにつながり,良好な人間関係の構築につながる。
 保育士養成課程の学校において,グループ創作活動を実施することで,学生自身のコミュニケーション力の向上につながり,将来の保育者として,心豊かな人材を育成できることを紹介する。

コンセンサスゲームを通じた学生支援(保育者養成)
室谷雅美
 コンセンサスゲームとは,グループ課題に対し,お互いの情報を交換しながら,課題解決を目指すプログラムである。コンセンサス(合意形成)においては,自らの考えを的確に伝える能力や,相手の意見を聞き取る能力なども求められる。これらのプログラムを通じ,学生は相互理解を深めることになる。
 また,これらの能力は将来保育者になる学生にも必要な能力である。お互いの話合いにより,一つの結論を出すプロセスを身につけさせることが,社会人としての能力を向上させた事例を紹介したい。

アドベンチャープログラムを通じた学生支援(部活動のチームビルディング)
稲田達也
 アドベンチャープログラムは,自己の内面への冒険活動として,挑戦や葛藤を通じ,自己肯定感を高めていくものである。
 また,チームで目標を共有し,目標に向かい,それぞれの構成員がどのような役割を果たすべきか等を考えるプログラムでもある。
 学生の部活動において,チームビルディングに必要なコミュニケーション力と,目標遂行力,課題解決力を高めることに役立つプログラムであった。学校において,て異年齢集団とのかかわり,地域とのかかわりを目的とした課外活動のひとつである部活動での取り組みを紹介する。