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[T2-O-7]Petrological characteristics of ultramafic xenoliths in Pinatubo volcano

*Tomoaki Morishita1,2, Wataru Koguchi1, Norikatsu Akizawa3, Mayuko Fukuyama4, Akihiro Tamura1, Tomoyuki Mizukami1 (1. Kanazawa University, 2. JAMSTEC, 3. Hiroshima University, 4. Akita University)
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Keywords:

Subarc ultramafic xenolith,Fluid inclusion,Luzon Volcanic Arc,Pinatubo volcano

 島弧下マントルでは,沈み込む海洋プレートに由来する流体(水流体・メルト)の流入の影響を受けていることが予想されている.島弧深部の流体の種類や移動様式は島弧から大陸への地殻・マントル進化プロセスを理解することである.しかしながら,島弧下由来のマントル物質を得ることは容易ではない(例えば,Arai & Ishimaru., 2008 Jour.Petrol.).本発表では,ルソン火山弧に属するフィリピン・ピナツボ火山に産する超苦鉄質岩捕獲岩に着目してその岩石学的な特徴,流体包有物観察の結果を報告する. ルソン火山弧は台湾からフィリピンまで南北に火山が分布し,化学的特徴の違いから5つの領域に区分されている(Defant et al., 1989 Geol. Soc. Amer. Bull.).ルソン火山弧では複数の地点から超苦鉄質捕獲岩が報告されいる(Pinatubo: Kawamoto et al., 2013 PNAS; Yoshikawa et al., 2016 Lithos; Payot et al., 2018 minerals; Iraya: Vidal et al., 1989 Geology; Maury et al., 1992 Nature; Fourcade et al., 1994 Chem. Geol.; Schiano et al., 1995 Nature; Métrich et al., 1999 EPSL; Arai & Kida, 2000 Island Arc; Arai et al., 2004 Jour. Petrol., Dinem島: Soberano et al., 2024 Jour. Asian Earth Sci., Lutao 島: Shellnutt et al., 2024 Jour. Petrol.). Pinatubo火山中の超苦鉄質捕獲岩は,ハルツバージャイトが多く,レールゾライトは少ない(Yoshikawa et al., 2016; Payot et al., 2018).Yoshikawa et al. (2016)はルソン火山弧のPinatuboとIraya火山中の超苦鉄質岩石の 地球化学的比較を行い,両者の間に関与した流体組成の違いがあることを明らかにした.また,Kawamoto et al. (2013)はPinatubo火山中の捕獲岩の流体包有物に着目し,炭素を含む塩水であることを報告した.Iraya火山中の捕獲岩には二次的に形成された直方輝石が普遍的に観察され(Arai & Kida, 2000; Arai et al., 2004),流体包有物として含水メルトが報告されている(Schiano et al., 1995). 本研究で我々のグループで検討しているPinatubo火山中の超苦鉄質捕獲岩は,3個であるが,それぞれ固有の特徴を示す.(1)肉眼観察では粗粒なタイプに相当するハルツバージャイト,(2)直方輝石―角閃石を富む薄層をさらにそれらを直方輝石に富む細脈が切っていることが観察されるもの, (3)細粒部が不均質に分布しているものである.すべての種類において微細組織観察からはホルンブレンドからトレモライト組成の角閃石とそれらの形成に伴うカルシウムやアルミニウムの乏しい直方輝石の存在によって特徴付けられる.(2)中には,これまで報告されていないような特徴が観察される.ラマン分光分析,FE-SEM-EDS分析により流体包有物について検討を行った.これまでの報告と同じH2O-CO2流体,およびそれらとホスト結晶が結晶化したものが主に観察される.さらに,硫黄などの元素も検出される.これらの特徴を整理して,流体包有物の特徴について報告する.